導入事例

日本電産シンポ株式会社 様

ワークスタイルの変革にPOWER EGG2.0を活用!
その具体的な活用方法とは!

「紙&ハンコ」から「PCでの処理」へ。
売上・生産2倍を目指して、そのワークスタイルを変えようとする日本電産シンポ様は、申請・承認・決裁業務の電子化を視野に入れてグループウェアの入替えを実施しました。
新しく選ばれた製品が「POWER EGG2.0」。同社は「効率化のための新機能=電子決裁(ワークフロー)機能があること」を評価し、POWER EGG2.0が選ばれました。
導入開始が2010年12月、そしてこの事例の取材が行われたのがちょうど稼働1年後の2011年12月中旬です。申請書類の電子化がどのように進んでいるのか、そのワークスタイルの変化なども合わせてレポートしたいと思います。

日本電産シンポ株式会社様は、総合駆動技術の世界的メーカー日本電産グループの一員です。独自のモーター技術を製品に凝縮し、減速機・変速機・フォースゲージ、あるいは電動ろくろなどを製造しており、トラクション技術分野では世界トップのメーカーです。
また2012年4月には、プレス技術・プレス機械の研究開発を行う日本電産キョーリ株式会社と合併する予定です。
現在、日本電産シンポ本社のある長岡京市に日本電産キョーリの本社および工場も移転し、統合一体化による稼働が始まっています。そのため、同社システム部は2010年12月から手がけている新しいグループウェア(POWER EGG2.0)の稼働および申請・承認業務の電子化加えて、日本電産キョーリとのグループウェア統合やシステム統合という課題も増え、その役割がますます重要になっています。

きっかけは既存グループウェアのリース満了。申請・承認業務の電子化を視野に、新たなシステムの導入検討が始まった。

《売上・生産2倍》には業務効率向上が必須。そこで"電子決裁"ニーズが浮上!

同社がグループウェアの入替えを検討し始めたのは、従来稼働していたdesknet'sのリース満了が近づく2010年7月頃からである。その頃、同社内では《シンポ一人当たり売上・生産2倍》をスローガンとした全社運動が展開されていた。

栗田次長:一人当たり2倍とは、まあ要するに、半分の人数で従来と同じだけの仕事をこなしなさい、ということですね。となると、仕事の処理をもっと効率化しなければ無理です。そこで、個人別でも各部門別でもこの2倍を実現するには、 "ふだんの業務処理を簡単にできるツールやシステムがあればいいんだけどなあ"という感じで、電子決裁的な処理方法への要望・必要性が幾つか出て来たんです。それならば、どうせ新しいグループウェアへの入替えを検討するんだから、 申請や承認・決裁業務の電子化を進めるのにふさわしい機能を持つソフトを導入しようじゃないか、ということになった訳です。

ユーザー参加の選考で意外な結果が。ユーザーはPOWER EGG2.0を選択した!

入替え・導入の検討を開始した当初、新規採用候補に挙がっていたグループウェアは8製品あった。それら8製品は、まずシステム部の段階で4製品に絞り込まれた。

栗田次長:実はその時点で、私なりに選定製品は内心決まっていました。しかしこの4製品に絞った段階からはシステム部主導ではなく、一般ユーザーの意見も反映して選定しようということになりました。社員全員が使いやすいものでないと意味が無いので、皆で検討して選ぼうということです。

システム部 栗田次長

選考を担当したのは、営業・生産・経理・総務など一般部署のユーザー18人およびシステム部の担当者7人。選考方法は、「使い勝手」「機能性」「操作性」など4項目に関して、各人が5段階で評価し総合ポイント1位の製品を選ぶ、というもの。

さてここで、ちょっと興味深い現象が生じた。システム部の栗田次長たちは、最大のポイントとして「電子承認」が意識にあったので、そのために、電子承認申請書式作成ツールの簡易的なものがあるかどうかを主眼として、それなりのシステムを内心決めていた。しかしユーザーは最終的にPOWER EGG2.0を選んだのである。

ユーザーが評価したポイントは、POWER EGG2.0の"ユーザビリティ(操作性)"や"個人ポータルの見やすさ""ケータイ承認"等総合的な「使い勝手の良さ」にあった。同時にPOWER EGG2.0の場合、Excel の書類をそのまま電子承認の書式として貼り付けて使えるという特長がある。だから、「簡単に電子承認ができるものを」というシステム部のニーズはきちんと満たされている。

またグループウェアの機能面で、従来のdesknet'sと比較しても何ら遜色はないということは、検討当初の段階からハッキリしていたので、結局ユーザーが評価する「グループウェア機能の使い勝手の良さ」とシステム部が意識した「効率化のための新機能=電子決裁(ワークフロー)機能があること」の双方を満たすものとして、POWER EGG2.0が選ばれたのである。

2010年12月、400ライセンス導入。
申請・承認の電子化もスムーズに。

2010年12月、POWER EGG2.0 導入が実施された。当初は400ライセンスでスタートした。システム部の皆さんによると、導入して1週間もすれば皆普通に使っており、導入時の混乱はほとんどなかったという。もともとdesknet'sを使っていたので、 グループウェアの利用には慣れている。だからPOWER EGG2.0になって、より使い勝手が良くなれば、ユーザーにとってはとくに問題はなかったようである。

電子決裁については、

  • まず慣れるまで、添付書類などが多い決裁系のものはひとまず脇に置き、承認系の案件から手を付ける。
  • 全員が慣れやすいよう、全員が入力する「勤怠ワークフロー」から始めよう。

という2つの指示が経営陣から出され、従来の「紙+ハンコ」からPC上での申請・承認という「電子化」に慣れやすいよう工夫が施された。その結果、スムーズに行くだろうかというシステム部の心配は杞憂に終わり、普段パソコンを使わない加工現場の人も問題なく入力もでき、皆がさしてトラブルもなく順調に稼働している。

申請書式の作成についても、最初の2‐3書類を作成する際にシステム部と管理本部「生産性改革室」(売上・生産2倍担当セクション)の間でじっくり話し合って対処した結果、今では「生産性改革室」の女性スタッフがすべての申請書を作成しており、システム部にその負荷がかかることも無い。

入江係長:結局 POWER EGG2.0は、全体的に見て社員の皆さんが入りやすい、馴染みやすいシステムだった、ということ。選考時のユーザーの判断が適切だったと言うことになりますね。

全社で電子化を推進。では、その申請書類電子化の手順と効果は?

まずはボトムアップで、現場から申請書類を上げさせる。

申請・承認・決裁業務の電子化を進めるにあたって、その進め方をどうするか、これにはいろいろ考え方がある。同社の場合は「ボトムアップ」すなわち、現場の意向を確認して進めるという方法を取った。現場に、電子化の必要性に関する意識を根付かせるには良い方法であろう。 システム部は、まず各現場、部単位で申請書類の一覧を上げさせた。その結果、全部で300件から400件の申請書類が電子化対象として上がってきたと言う。そして、そこで1つの判断が働いた。経営トップ(専務)から「まず最初は慣れることが肝要。だから添付書類などが多い決裁系のものはひとまず脇に置いて、汎用申請の中でも"決裁"とは呼ばれない、承認程度のものから始めたらどうか」という指示が出たのだ。つまりボトムアップからトップジャッジの流れである。

栗田次長:"決裁案件"も"承認案件"も、我々からしたら文言表現的には同じような感じなんですが、意味的には何か違う感じがあり、確かに承認系の申請の方が皆、取り組みやすかったようですね。最初は価格稟議に関するものなどとかやってみようと思ったんですが、まずは承認系のものをさらに絞り込んで、部署ごとに最もよく使われる申請から手がけるようにしました。また全社的にまたがるもの、全社員が使うもの、つまり勤怠申請系とか総務関連申請などを優先して誰もが電子化に慣れることから始めました。

2011年12月現在、24書類の電子化により、年間約1,000万円弱のコスト削減効果が。

では、この電子化による効果をどう見なすか? まず栗田次長の見解はこうである。

栗田次長:実際のところ、時間・工数・人手などの数値で定量的に効果を割り出すのは困難です。新たな電子化案件が上がるたびに経営トップへも報告していますが、まだまだ高評価をもらえる段階には至っていません。ただ、とくに根拠があるわけでは無いんですが、私なりには《1申請3万円の効果》で数値化しています。 まあ紙代削減・工数カット・省時間などを含めて大雑把に、1帳票の電子化で月に3万円ぐらいはコスト削減できるだろう、と試算しています。そうなるといま24件だから月に72万円、年間で864万円と、約1,000万円弱ぐらいのコスト削減には寄与しているんじゃないかな、と思ってます。

次に入江係長は、

入江係長:各部署が電子化申請の書類、例えばシステム作成変更依頼書を提出する際に"なんぼ削減になるか"を記入してもらいます。また稼働確認してもらったら、"実際はなんぼの削減効果が出たのか?自分たちが当初予想していた通りに効果的に稼働できたかどうか"を記入・提出してもらう書類も用意していますよ。

つまり、しっかりと効果測定している。着実な電子化の進め方といい、現実的な効果測定のやり方といい、いかにも京都を地盤とする老舗企業らしい手堅さが窺えるようである。

電子化の推進で仕事のスタイルに変化が。
『ホンマに見えるんやー』

《見える化》を実感できるしくみに変わった!

申請の電子化が進むことで、一番大きく変わったこと、それは《見える化》が実感できるしくみで処理が進むことだ、と入江係長は言う。

入江係長:ほら、よくグループウェアの効果を話す時に《見える化》という話をするじゃないですか。申請・承認を電子化することで、その《見える化》を実感できるようになりましたね。例えば総務担当の休暇届ですが、紙伝票の頃は1週間分ほどその伝票を貯めて処理していたようですが、その処理がどこかで止まっていても申請者には分からなかったんですよ。実際、止まっているのかどうかすら気が付かなかった。それが電子化になると、総務での承認進行状況が見えるんですね。だから、承認を止めていると、申請者から"こんな簡単な承認、すぐに回してよ"という感じでクレームが入る。他部署の仕事の進み具合が見えるんですね。"ホンマに見えるんやー"という感じで、最初の頃はみんな結構感激しましたよ。

承認ルートの見直しが始まった!

栗田次長:電子化を進めて行く過程で判明したことですが、従来はかなりの承認が社長に集中していたんです。しかしこの機会に承認ルートの見直しをしたので、承認の分散が進みました。それだけ、社長の負荷は減ったことになります。しかし、一方でパソコンさえあれば常時承認が可能になりましたから、社長はケータイ承認こそしていませんが、常時パソコンを携行し承認業務に追われることになった訳ですね。

「組織図メンテナンス」がラクに。システム部の仕事も変わった!

では、電子化の推進によってシステム部自体の仕事はどう変わったのだろうか?前述したように、申請・承認の電子化はいずれも「申請者」「生産改革室担当」「システム部担当」の三者の話し合いに基づいて進められる。そして申請書式は「生産改革室」の方で作成されている。大きな変化は、組織図のメンテナンスに関する仕事のようだ。

システム部 久川氏:私は入社してすぐにPOWER EGG2.0を使い始めましたので、以前のものと比較することはできません。しかし、当社の場合、かなり人事異動が多いのですが、その際の組織図メンテナンスに関しての負荷が、POWER EGG2.0の場合、かなり少ないように思います。ユーザーからの不満も無く、私はとても満足しています。

グループウェアとしての評価は?
"とくに文句が出ないのは、みんな満足している証拠"

それでは次に、グループウェアとしての POWER EGG2.0について、その評価を確かめてみよう。

ポータル画面は、シンプルで硬派な印象が特徴。

日本電産シンポ様の全社ポータル(ログイン画面)は、硬派な内容がシンプルな構成で訴求されている。 画面が立ち上がると、まず日本電産(Nidec)グループのコーポレート・スローガン「All for dreams」に続き、「頂点への道は三大精神にはじまる」として、

  • 情熱・熱意・執念
  • 知的ハードワーキング
  • すぐやる、必ずやる、出来るまでやる

の行動スローガンが表記される。そして申請・承認の電子化を進める動機の1つとも言える《シンポ一人当たり売上・生産2倍》の目標が掲示されている。

【全社ポータル】
【個人ポータル】

掲示板については、全社通達の確認スペースとして活用。

掲示板はあまり制限をかけず、総務・経理・システム部門などから流れる全社通達の確認スペースとして活用している。だがそうなると、全社員が見ていることが前提になるので、見ない人への指導は少しきつくなることもある。

導入当初は、掲示板を常に見るようPRしたが、それでもなかなか見ない人もいた。ところがPOWER EGG2.0の場合は、「見ていない人」が分かるから、見ていない社員に対して見るように繰り返し要請し、それでもダメな人には「社長および上司の本部長名」が入った文書を出して「見ない理由」を文書に記して提出するよう求めたりした。またある時は「見ていない社員の上司」宛にメールを送り「あなたの部下が見ていない。
その現状をきちんと把握して、適切に指導してくれ」と直談判したこともある。こうして全員が見るようになるまで、繰り返し指導を徹底した結果、今では全社通達確認の場として掲示板は日常的に不可欠のものとなっている。

社長自身が、スケジュール登録を率先垂範。

スケジュールについては、社長自ら「きちんと入れなさい」という指示が出ている。社長の場合、マイメンバー登録をして、主立った役員・社員の出先簿を閲覧できるようにしているそうだ。また社長のスケジュールについては、基本的に全社公開している。

栗田次長:他の人のスケジュールが把握できるのは助かりますね。例えば私の場合ですと、合併に伴うシステム統合・調整作業などを協力して進めている日本電産キョーリのプロジェクト担当者のスケジュールが把握でき、いま何をどう進めているのかが掴めます。そんな感じで、皆きちっとスケジュールを埋めている。何も入っていない、空いていると、仕事をしていないように思われますからね(笑)。

グループウェアとしての使い勝手は良い。入れ替えて、あっという間にみんな慣れた!

入江係長:グループウェアとしての使い勝手は、私は良いと思っています。4分割がきちっとし過ぎていてちょっとお役所っぽいというか、遊び心がもっとあっても、とか個人的には思いますが、現場からシステム部に文句が上がって来ないということは、みんな満足している証拠ですよ。この手のものは、何か不満があると必ず文句言って来ますが、満足していると別に何も言っては来ない、とそういうもんなんです。みんなあっという間に慣れたようです。

また入江係長によれば、ファイル管理はマニュアルや申請書類(まだ紙のもの)なんかのサーバ替わりで利用されており、会社に関わる書類がいっぱいこのファイル管理に入っている。

栗田次長:私がとくに気に入っているのは、アシストメッセージ。これが便利ですね。人それぞれの性格にもよるでしょうが、私の場合はアシストメッセージが出たらすぐ処理してカラにする。そうしないと気分的に落ち着かない。こういう人が増えれば、思うツボなんでしょうね(笑)。

今後のPOWER EGG2.0活用について

栗田次長:いまはもう掲示板見たり、スケジュール確認があるから、皆朝来ると4分割画面を開く。やはり使い勝手が良いから、違和感なくスッと入って行ける感じかな・・・。確かに電子承認などでもっとすごいことができるものもあるのかもしれないが、それを全員が使えなければ意味がない。だから、皆が使えるという点を考慮すると、POWER EGG2.0に満足している。上出来だと思ってますよ。

お誉めの言葉をいただいた。とはいえ、いまはまだ「ひと通り電子化しやすいものを手がけて一段落」した状態であり、課題はまだまだ山積している。
まずは同じ場所で働くことになる日本電産キョーリの人々に、新しいグループウェアであるPOWER EGG2.0と電子申請・電子承認に慣れてもらうことが当面の課題である。
そして同じシステムを動かすことが可能になれば、これまでの「1次開発=汎用申請の電子化」に引き続き、合併調整によって遅れていた「2次開発=基幹システム連携(基幹の情報を各ユーザーポータルに連携)」および「3次開発=電子承認済データを基幹システムへ取り込む連携」なども進めて行きたい意向である。 こうした基幹連携への取り組みは、統合作業完了後の2012年5月以降、いっそう拍車がかかることになりそうである。

企業プロフィール

日本電産シンポ株式会社様

創業 1952年設立
本社所在地 京都府長岡京市
年商 141億6,600万円(2011年3月期/連結)
従業員数 1,794名(2011年3月期/連結)
主な業務 ・無段変速機の製造販売
・産業能率機械の製造販売
・工芸機器の製造販売
・計測制御機器およびその応用機器の製造販売
・DCブラシレスモータの製造販売

導入時期・その他

POWER EGG 導入時期
2010年7月
導入検討開始
2010年12月
稼働開始
稼働ライセンス数 約550ライセンス
取材ご協力者
(右)システム部/次長 栗田 幸賀 氏
(中)システム部/係長 入江 俊明 氏
(左)システム部 久川 智哉 氏