導入事例

株式会社北陸化成工業所 様

「1,700本におよぶ社内文書を一元管理。
当社が求めていたローコード開発が可能な
Webデータベースが採用の決め手でした」

水処理用薬剤などの工業用薬品の製造、鋳物用の砂や中子の製造、発泡スチロール製品の製造・販売を手掛けるとともに、循環型社会の実現に貢献している北陸化成工業所。
同社はグループウェアのリプレースにともない、2017年にPOWER EGGを導入し、2021年にはクラウド版に切り替えています。その導入の背景と効果について、管理本部 営業・業務部 取締役部長 田名田 剛史氏、品質保証部 技術課課長 佐武 満氏に伺いました。

背景

・社内データベースをMicrosoft Accessで作成していたが、技術に詳しい担当者しか携われない属人化が起きていた

・新型コロナウイルス感染症の影響で、オンプレミス環境への社外からの接続が課題となり、クラウド環境に移行する必要が生じた

活用状況

・Webデータベースの活用により、社内での円滑な情報共有と業務の効率化を実現

・1,700本の社内文書を一元管理。複数の部署でデータベースを活用できるように

・汎用申請ワークフローの導入により決裁まで時間が半減。リモートワークも推進

Webデータベースを主体に、POWER EGGに情報を集約

今回、導入した製品・サービスを教えてください。

グループウェアのリプレースにともない、2017年10月にPOWER EGGを導入しました。当時導入したのはオンプレミス版で、グループウェアとWebデータベースがそれぞれ80ライセンス。利用者は当社およびグループ会社の経営層、管理業務部門、管理職などです。リモートワーク環境整備のため、2021年10月にクラウド版へ切り替えました。新たに汎用申請ワークフローを80ライセンス追加しています。

POWER EGGの導入効果を教えてください。

Webデータベース苦情処理対策のフローを効率化

Webデータベースで最初にやりたかったのが、苦情処理の情報共有と効率化です。苦情については当事者が入力し、社長まで回覧したら対策部門に通知がいく仕組みにしています。

苦情への対策についても別のWebデータベースを立て、履歴を残しておけるよう管理しています。これにより、社内における苦情・問題点を素早く共有し、解決に向けた対策に取り組めるようになりました。思い描いていた業務フローを構築することができました。

社内規定類・手順書を一元管理

1,700本におよぶ社内規定類・手順書をWebデータベースで一元管理しています。以前に利用していたグループウェアでは、簡易的なファイル管理しかできなかったため、検索が面倒でした。現在はフォルダ別にきめ細かく管理できるようになり、簡単なキーワードで最新の規定類・手順書を探し出すことができます。

規定類の審議履歴、紙で配布した手順書の台帳などもWebデータベースで管理しています。関連する文書がすべて紐づいているため、どこからでも参照したいデータにたどり着けます。

事務部門と工務部門でもデータベースを活用

Webデータベースの作成は、管理部門である事務部門と工務部門にも権限を付与しています。どちらの部門でもWebデータベースで日報を作成しています。工務部門では、修理依頼、検査設備台帳、故障履歴などのデータベースも作成しています。もちろん、これらのデータベースも必要な他のデータベースと紐づいています。管理部門が利用の主体とはなりますが、属人化を排除するためにも、今後はWebデータベースの権限をできるだけ増やしていきたいと考えています。

社員マスターを起点に更新情報を紐づけ

当社では関連会社を含む社員マスターをWebデータベースで作成しています。社員マスターには、更新が発生する運転免許証や任意保険などの情報も登録しており、期日が近づくと自動的に通知する仕組みになっています。会社へのコピーの提出忘れを防止できるということで、社内では非常に好評です。

直近では、講習会の通知など社内からの要望に応えるため、社員マスターの改修を行っているところです。通知の仕組みは、期限がある物品購入管理でも活用しています。

グループウェアいつでもスマートフォンで確認できる

クラウド版の導入後は、社内メールやスケジュールをスマートフォンからいつでも確認できるようになりました。もちろん、メールへの返信や新たなアポイントの追加などもスマートフォンから行うことができます。特に外出が多い営業担当者は、大きな恩恵を感じているようです。また、社内メールはコメントにぶら下がっていく形で残っていくため、話の内容を追いやすいというメリットがあります。使い勝手の良さを感じますね。

汎用申請ワークフロー決裁に要する時間が半減

導入前は申請して決裁されるまで1週間ほどかかっていました。汎用申請ワークフローを導入してからは、3 ~ 4日で決裁が下りています。しかも、リモートワーク中の管理職も自宅で承認できますから、出社の必要がありません。他に便利だと感じたのは、承認者が順番を問わず事前に申請内容を閲覧できることです。あらかじめ、時間があるときに確認しておけば、いざ自分の番のときに決裁や差し戻しを素早く行うことができます。

管理本部 営業・業務部 取締役部長 田名田 剛史氏
管理本部 営業・業務部 取締役部長 田名田 剛史

ローコード開発が可能になり、属人化から脱却

POWER EGGを導入した背景をお聞かせください。

1996年頃からだったと思いますが、サーバーにバンドルされていた無料のグループウェア製品を利用していました。途中から有料になったものの、使い勝手が良く慣れもあって長年使い続けてきましたが、2020年1月にサポートが終了するとのアナウンスがありました。社内メールやスケジュール管理、掲示板などの機能は、すでに当社にとって欠かせない機能になっていたため、グループウェアがなくなってしまうと業務に大きな支障が出てしまいます。そこで、代替品を探すことになりました。

グループウェアの比較・検討はどのようにされたのでしょうか。

展示会やお付き合いのあるベンダーから紹介いただいたグループウェア製品から、社内メールとスケジュール、掲示板といったベースとなる機能、そしてファイル管理機能を有するグループウェア3製品をピックアップして比較・検討しました。その中のひとつがPOWER EGGでした。

POWER EGGを選定した理由をお聞かせください。

グループウェアの機能自体に、大きな差はないと感じました。そのなかでPOWER EGGを選定した大きな理由は、Webデータベースを利用できることでした。

そもそも当社は、Microsoft Accessで社内の主要なデータベースを作成していましたが、高度な技術が必要なアプリケーションだったため、作成には一部の人しか携わることができませんでした。属人化から脱却したいと思っていたものの、Accessよりも簡単に使えて高品質なデータベースを作成できる製品にはなかなか巡り合えません。

そんなとき、偶然にもグループウェアの選定時にPOWER EGGのWebデータベースに出合いました。ベンダーから詳しく話を伺い、当社が求めていたのはまさにローコード開発が可能なWebデータベースだと確信。2017年8月にPOWER EGGの導入を決めました。

最初はオンプレミス版を導入されていますね。

もともとオンプレミスのグループウェア製品を利用していたこと、そして、セキュリティ対策に課題を感じていたことを理由にオンプレミス版を選択しました。
特に、情報セキュリティの重要性を全社員に浸透させるには時間が足りませんでした。リプレースと同時に、一気にクラウド化してしまうのはリスクが大きいと、当時はいったんオンプレミス版を導入する判断となりました。

リモートワークを余儀なくされた結果、クラウド版が必要に

2021年10月からクラウド版を導入されています。

大きく3つの理由があります。新型コロナウイルス感染症の影響、多様な人材の確保、そして富山県中小企業リバイバル補助金を活用です。

まず、新型コロナウイルス感染症の影響ですが、2020年4月に初めて緊急事態宣言が発令された際は、当社の業務にも大きな影響がありました。工場全体が止まることはありませんでしたが、管理部門や管理職などはリモートワークが増えていました。

その際、問題となったのは会社の業務基盤でもあるPOWER EGGへのアクセスです。リモートアクセスも検討しましたが、ライセンス費用の関係で断念しました。代替方法を検討してたどり着いたのがクラウド版への移行でした。

2点目は多様な人材確保です。これは当社が扱っている工業用製品の特殊性にも関係しています。営業の即戦力となる専門的な知識を有する人材を確保するのは限界があります。リモートワークを前提にした人材募集に転換すれば、住む場所にかかわらず、専門知識がある方に働いてもらえるのではないか。そうなったときに、POWER EGGのクラウド版が必要だと思ったのです。

それから富山県独自の補助金制度、「富山県中小企業リバイバル補助金」が利用できることを知ったのも大きかったです。タイミング良くPOWER EGGのクラウド版導入を考えていたため、この補助金を利用することにしました。タイトなスケジュールだったため、申請から認可を得るまでの手続きは大変でしたが、この補助金がPOWER EGGのクラウド版導入の後押しとなったのは間違いありません。

品質保証部 技術課課長 佐武 満氏
品質保証部 技術課課長 佐武 満

汎用申請ワークフローも導入されました。

紙による申請の場合、内容を確認し判子を押すために出社しなければなりません。リモートワークしやすい環境を整えるために、出社しなくても申請から決裁まで行えるようにする必要がありました。クラウド版への切り替えと同時に汎用申請ワークフローの導入は欠かせないものでした。ペーパーレス化の推進という側面もありますが、製造業なのでどうしても紙のやり 取りが必要になってしまうのは否めません。そういう意味では、アナログな紙を併用しつつ、ペーパーレス化を徐々に広げていければという考えです。

最後に今後の展開をお聞かせください。

POWER EGGをさまざまな業務システムと連携させたいと考えています。いま取り組んでいるのはRPAの活用です。例えば、Webデータベースの苦情処理では受付や回覧中、承認などのステータス変更をRPAで行っています。

目指すところは確認作業や手入力の排除です。こうしてリソースの最適化を図っていくのが我々の役目であり、我々が考えるDXでもあります。最終的には「多能工の育成」にたどり着ければと考えています。

企業プロフィール

北陸化成工業所

創立以来、工業薬品メーカーとして地元に根差した企業活動を行う。水処理用薬剤などの無機薬品の製造、鋳物用の砂や中子の製造、発泡スチロール製品の製造・販売、配送サービスの4事業をグループ会社とともに展開している。地域企業から発生する副生物を有効活用し、新たな製品を作り出すリサイクルによって循環型社会の実現に貢献する。SDGsの取組みを推進していく「富山県SDGs宣言」にも参画するなど、これからもSDGsの先駆け企業として社会と地域に貢献する事業を推進している。

(2022年4月1日時点)
名称 株式会社北陸化成工業所
本社 富山県高岡市石瀬1928
設立 1949年2月
資本金 6,250万円
従業員数 133名(グループ全体、2019年3月31日現在)
URL https://hokurikukasei.co.jp/

取材:2022年8月