株式会社 山口油屋福太郎 様
「めんべい」の大ヒットで、業務量が急増。
同社の業務を支えるPOWER EGGの活用法とは?
※本事例に掲載されている情報は、取材当時のものです。
福岡土産の人気商品『辛子めんたい風味せんべい・めんべい』。今では羽田空港内のショップでも売られています。『めんべい』は発売されて約15年、激戦地・福岡において定番土産となったヒット商品です。その製造販売元が今回の取材先、株式会社山口油屋福太郎様。同社は1909年創立、明治42年創業のまさに「100年企業」です。社名が示す通り元々は「油屋」。水晶油という透き通った高品質油の販売で社業をスタートし、後に業務用食材卸、めんたいこの製造販売と業態を広げ、そしてここ10年で売上が20倍もの成長を遂げた『めんべい』のヒットにより、製造メーカーとしての立ち位置がより重視されるようになってきました。
そこで、メーカーとしてのウエイトが高くなることで浮上したのが「お客様からのご要望やクレームの増加」という課題でした。これまでは半年数件だったお客様の声が、めんべいのヒットにより大幅に増えていったのです。そのため、お客様の声を収集蓄積し、迅速な対応をおこない、また新たなマーケティング活動のヒントとして活かせるようなシステムの整備が急務となったのです。
メーカーなのに、
「お客様の声を活用する仕組みがない!?」
ところからスタート。
最初にPOWER EGG2.0導入活用の旗振り役である田中副社長にお話をお伺いしました。
田中副社長の想いは「200年企業を目指す/守りの経営から攻めの経営へ」の実現。
そこで、POWER EGGクラウドを導入することが決まりました。
POWER EGG2.0導入のきっかけは「クレーム管理」だったそうですね。
田中副社長:弊社の場合、元々は業務用食材卸売、つまりBtoBビジネスがメインでした。この場合は取引先でクレームが生じても、担当営業や部署に直接連絡が入り、また数もそれほど多くないので、ある意味属人的な対応でも問題ありませんでした。しかし『めんべい』の売上が急成長し、商品への認知度が高くなればなるほど、「箱がつぶれてる」「(元々少し硬めに仕上げたお菓子なので)湿気っている」、あるいは「割れている」「もっと辛い方がいい」といったクレームやご要望など、様々なお客様の声が増えてきました。そして、これは当たり前のことですが、メーカーとしてのしっかりした対応が要求されます。とくに課題はクレーム対応ですね。ところが以前はこの「クレーム管理」が属人的で、一元化された社内システムとして存在していなかったんです。このままじゃまずい、何とかしたい。そこがスタートでしたね。
クレーム対応については、従来も書類ベースで報告するという形で処理していました。そのため、情報の流れはできていたのですが、必要な人に必要な報告が確実に回らずクレーム情報がなかなか社内共有されませんでした。また、クレーム対応進捗が見えなくて、そのため対応が後手後手になることもありました。なぜなら「誰が」「何を」「どのように対処しているのか」誰もよくわかっていなかったからです。このような状態では、品質管理・販売サービスの改善や新たな商品開発のヒントとなるはずのお客様の声が活用できません。販売現場、品質管理、工場が効率よく情報共有されているとは言い難い状況でした。そこで私は、こうしたお客様からの声を共有・活用できる一元化されたシステムの構築を行いたいと強く感じました。
POWER EGG2.0との出会いは?
田中副社長:2014年11月頃に富士通マーケティングさんのコンサル協力を得て、当時の社内システムにおける課題の洗い出しを行いました。その中の重要課題の1つが「クレーム管理」でした。その結果、クレームを含むお客様からの声を社内一元化することが決まり、やはり富士通マーケティングさんの協力を得て2015年1月から3月にかけて製品検討をしました。しかし、入力項目などの設定が柔軟に出来る等、弊社の要望を満たす製品が見つからず製品選定は難航しました。そんな時、2015年6月にPOWER EGG2.0と出会いました。そしてWebデータベース機能で、弊社の要望が全て実現することがわかりました。
POWER EGG2.0を選ばれた理由は?
田中副社長:選択理由はいろいろありますが、主な理由は以下の通りです。
- Webデータベース機能という、ナレッジを蓄積、活用できるための仕組みを持ったシステムであること。何といってもこれが第1の理由で、お客様の声を一元化して管理・共有できる。そして、自分たちの想いに合わせていろいろ作り込みができるのが弊社に合っていた。他製品はデータベースを蓄積して活かす仕組みが少し見えづらかった。
- クラウドで利用できるので、システム要員が少ない弊社現状を考慮するとコストパフォーマンスも良い。
- グループウェアとしての汎用性も高く、製品自体がもっと進化しそうな感じがある。将来「おっ、もっと他にもいろいろできるんじゃないか?」という印象があった。
Webデータベースの活用によりお客様からの声を蓄積・分析。
情報を一元管理したことによる効果は?
田中副社長:傾向が見え、分析できる点が良いですね。例えば商品クレームは問題の原因が多岐に渡る場合がありますが、まずボトルネックになっている所を見つけて対応し、それを工場にフィードバックする仕組みができていないと意味がないんですね。
- お客様の声がくる
- 販売現場でデータとして蓄積し関係担当部署に回る
- 品質管理にお客様の声が届く
- 品質管理と営業担当でお客様の声を共有する
- お客様の声が工場に行く
- 工場で検査する
- 工場から品質管理に戻る
- 品質管理からお客様に戻る(営業担当も絡む)
- その後の対応情報が工場に戻る
こういう一連の流れで、きっちりとしたお客様対応が行えます。
クレーム対応の履歴も残りますね。
田中副社長:何か問題があって説明しなければならないときに、従来は「弊社はこういう対応をしている」と正確に言えるかどうかが正直疑問でした。それじゃまずいですよね。その点、対応履歴が残る仕組みにしておけば対処のプロセスが説明できます。エビデンス(証拠)が出せますからね。また担当者が異動してもその対応を他の人間が引き継げます。担当者が不在の時でも、きちんと引き継いだ対応ができます。クレーム管理が一元化され、同じような問題が発生した時、前回どう対応をしたかが「見える化」されます。
「情報共有」「見える化」「スピードアップ」
そして部門間コミュニケーションの充実に
POWER EGG2.0を。
部門間コミュニケーションの充実を意識されているようですね。
田中副社長:弊社の場合は仲卸部門、メーカー部門、小売部門、サービス業部門などと部門が多岐に分かれ、労働環境や労働時間帯なども異なるため部門間コミュニケーションが取りにくい状況にあります。これは放っておくと大きな問題になりかねないので、早期に解決する必要があり、POWER EGG2.0には大きな期待をしています。まだ使い始めたばかりですが、現場の担当に聞くと「とても便利」という評価が多く、「他部門はどんな使い方をしているのか」などと興味津々です。これは良い傾向ですね。
現場担当の皆様のご評価はいかがですか?
中村課長代理:私は当初から、便利そうだと思っていました。私はインターネット通販や直販店など小売を担当していますが、POWER EGG2.0を導入する前は報告案件が多くなっていて、大変でした。「おっ、これで楽になりそうだ」と思いましたよ。
大穂係長:私もこれはいいなあと思いました。工場拠点が北海道に1カ所、本社工場を含め福岡県に3カ所の計4カ所ありますが、紙ベースだとどうしても忙しさのせいで電話報告や口頭でのやりとりが多くなりがちでした。だから以前は工場長に詳細が全て伝わらず、起きた事象(こうこう、こういうようなクレームがあった)だけしか伝わらなかったり、また伝達が遅くなったりしていました。それがPOWER EGG2.0導入によって工場長自身もクレーム内容をダイレクトに受け止めることができ、対応に際してもしっかり原因と対策について考える時間の余裕ができました。
中村課長代理:導入から約3ヶ月経ちますが、実際に使ってみて作業効率は良くなったと思います。紙の場合だったら、どうしても今やってる仕事に集中したいから、放り出したままにしたこともありました。しかし、POWER EGG2.0では、通知が来て履歴が残るので放っておけません。すぐバトンリレーしたい気持ちが芽生え、「見える化」と同時に「処理のスピードアップ」が図れ、情報伝達がすごく早くなったように思います。外出が多い若手営業マンもクレームに関して関心を持つようになりましたね。
大穂係長:従来はお客様からのクレームは紙ベースでしたのでファイリングしていましたが、それは単に保管するだけでした。それが今では関係する全ての人に、4ヶ所全ての工場に、リアルタイムで情報共有ができるようになり、対応スピードが速くなりました。とくにクレーム対応の場合の効果が大きいと思います。
中村課長代理:実は元々、クレーム管理専用のソフトを購入しようと考えていました。しかし入力項目が自由に変えられないなど使い勝手がいまいちだったんですね。ところがPOWER EGG2.0のWebデータベースは自由度が高い。実際に使う営業や品質管理サイドからシステム担当に「こんなことできないか?」と投げかけ、要望に合った入力フォーマットができつつありますよ。
大穂係長:最近ではクレーム情報を活用した改善への動きも出てきています。例えば「今月はこういうクレームが相次いだがどういう是正をして行こうか」などを改めて話し合ったり、また月に1回行っている工場間会議の場で話し合う機会が増えました。
システムご担当としての評価はいかがですか?
有浦 氏:担当した最初の頃は、なかなか思うようにならないこともありましたが、自分でやっているうちに解決できてしまう。これがPOWER EGG2.0らしいところかもしれません。今となっては「割と簡単かも?」という感じです。大体の問題が、自分でちょっと頑張ればいつの間にか解決してしまう、何とかなるのがいいですね。品質管理、小口対応部署(直営店、インターネット通販)、大口(百貨店)対応部署、工場など順に使い始めてそのたびに説明に行きました。ひと通り終わったんですが、現場への使い方指導も、1回教えた後はどうにか使いこなしています。
ナレッジの蓄積から「ナレッジの活用」へ。
守りから攻めの経営に活かせる使い方を。
田中副社長:お客様の声(クレームや要望)の管理、つまりナレッジの蓄積は徐々にできつつあります。しかしまだ、そのナレッジを皆で活用したり現場の改善に活かしきれていません。そこで次の段階は蓄積された情報を「攻めの経営に活かす」ことです。ナレッジを蓄積するというインプットだけでなく、ナレッジを活用して新たなチャンスや付加価値を見出すというアウトプットを図ってこそ、POWER EGG2.0導入の費用対効果が大きくなると思っています。それにしても、正直に言いますと最初はやはり心配でしたよ。だが彼(システム部・有浦氏)が頑張ったおかげでどうにか順調に稼働し社内定着が進んでいます。弊社のようなシステム要員の少ない会社でも充分使えるところが、POWER EGG2.0 の良さですね。ユーザ会ですか?もちろん、ぜひ参加して皆さんの知恵を吸収させていただきますよ。
企業プロフィール
株式会社山口油屋福太郎様
創業 | 1909年(明治42年3月) |
---|---|
本社所在地 | 福岡県福岡市博多区 |
資本金 | 1,000万円 |
店舗数 | 直営店12店舗/販売店7店舗 |
主な業務 | ・業務用食材卸売。 ・「味のめんたい・福太郎」「辛子めんたい風味・めんべい」などの製造・販売。 ・飲食レストラン/温浴施設など経営。 |
- ※企業データは2016年3月時点
導入時期・その他
POWER EGG 導入時期 |
|
---|---|
稼働ライセンス数 | 50ライセンス |
稼働機能 | ベースシステム、グループウェア、Webデータベース(各機能いずれも50ライセンス) スマートフォンオプション(10ライセンス) |
販売パートナー | 株式会社富士通マーケティング |
取材ご協力者 | ・取締役副社長 田中 洋之 様 ・営業第三部 課長代理 中村 哲也 様 ・営業第三部 品質管理 係長 大穂 英貴 様 ・システム部 有浦 健人 様 |
取材:2016年1月