FIT大阪2023講演レポート
「POWER EGGを利用したDX取り組み内容」(後編)
グループウェアの刷新を機に、業務フローを見直しDX推進へと舵を切った東海労働金庫様。POWER EGG導入からこれまでを振り返りながら、どのように活用してきたのかをFIT大阪2023のセミナーにて語っていただきました。
前編では、導入のきっかけから、情報連携のあり方についてお届けしました。後編では、運用を定着化させるための推進方法や専用システムをWebデータベースに置き換えた事例・効果などについてお届けします。
※本レポートに掲載されている情報は、ご講演いただいた当時のものです。また、レポートにまとめるにあたって、加筆・修正をしております。
東海労働金庫
業務部 システム統制グループ
次長 小籔 弘道 様
運用定着までの道のり
段階を経て職員のスキルアップを実施
さて、こうした取り組みを進める上で欠かせないのが職員のスキルアップです。Webデータベースといわれても、最初は使い方も何もわかりません。ですので、いつの段階でどのように業務が変わっていくか、スキルアップを促すかといったことを計画建てました。それが次のスライドとなります。
3つのフェーズに分けてWebデータベース化を進めました。
第1フェーズではWebデータベース化する業務の立案から設計・作成までを推進部署が行い、担当部署は、使ってみることからはじめてもらいました。このとき、推進部署はあくまでも黒子として地ならしをするところに徹して、Webデータベースを活用しているのは担当部署ですよというのを周りにアピールしながら進めました。
第1フェーズでWebデータベースを理解し、効果を実感していただいたところで、第2フェーズでは立案を担当部署の方が行い、設計・作成については推進部署も協力しながら進めました。最後の第3フェーズでは担当部署に任せて自走していくという流れです。
このようにステップを踏んだときに、どんなスキルを習得していないとこの段階をクリアできないのかというのを明確にしました。それが次のスライドです。
1番上にスキルレベル1、2、3と書いていますが、これは先ほどのフェーズと連動しています。はじめはいろいろと触っていただきながら、研修を実施して、徐々にいろいろな知識や経験を習得していただく形をとりました。もちろん、すべての部署一律でこの通りに進捗したわけではなく、各部署の事情に応じて対応しました。
ただ、他の部署が進んでいくのを目の当たりにすると、遅れている部署も空気感が変わり自然と進むようになり、4年目の今となっては、すべての部署が第3フェーズまで進んでいます。
活用事例
専用システム開発の費用も削減
続きまして、導入効果の高かった案件を3点ほどご紹介したいと思います。
1つめが、自店検査という業務になります。金融機関ではお馴染みかなと思いますが、各営業店が自らで検査するための項目を用意し、計画を立てて相互チェックしていくというものになります。こちら、当初専用システムを開発するかの検討もあったのですが、投資額がだいたい3000万円から5000万くらい、維持費も年間数百万かかるという話がありました。
しかし、このシステムを検証していくと、肝となるのはデータの収集というところで、それであればWebデータベースでも7割程は用が済んでしまうことがわかったのです。もちろん、専用システムのほうが細かな機能では優れているのですが、十分に業務を進めることはできるという判断になり、Webデータベースで運用することになりました。
それから、事務過誤分析やeラーニングなどでも、専用システムを利用していましたが、Webデータベースを活用することで年間200万円ほどのシステム維持費が不要になりました。
これらについて、実際に職員が作った画面を一部、ご覧いただきます。
続いて、事務過誤分析です。いつ、どのような事務ミスが、どんな原因で起きてしまったのか、再発防止はどうするのかといった情報を蓄積・連携するためのデータベースとなっています。 入力項目などは、従来使っていたシステムとほぼ一緒になっていて、むしろ改良した形になっています。
続いて、eラーニングです。こちらは外部のクラウドサービスを契約していましたが、そちらを廃止し、Webデータベースに置き換えて運用しています。Webデータベースの自動計算項目を使うことで、選択問題の正誤判定や点数の計算などもできてしまいますので、こちらも何の問題もなく運用ができております。
POWER EGGのメリットは、このようなWebデータベースをすべて自分たちで作れ、年々使っていく中で必要な項目を追加したり、不要な項目を削ったりと非常に柔軟な運用ができるところです。またWebデータベースの情報を社内メールで送ったり、作業依頼したりと、1つのシステムの中でスムーズに情報連携できるという一面もあります。それから、こうした専用システムから移行して気づいたのですが、専用システムだとそのシステムごとにID管理なども発生していたのですが、POWER EGGは組織情報を持っていますので、一元化できます。そういう部分での管理の負担も減りました。
今後の展望
蓄積されたデータ分析を活用するフェーズへ
最後に今後の展望です。1つ目はビッグデータ分析です。これまで4年弱、蓄えてきたデータがありますので、それらの活用をしていければと考えています。データに基づいて分析し、仮説を立てて業務の効率化につなげていければと。ゆくゆくは、POWER EGGの操作ログとか、そういったものも含めて活用できればと考えています。
2点目としては、事業継続性、いわゆるBPCについてです。これは展望というよりも課題に近い話かもしれません。さきほどからいろいろな業務がPOWER EGGに集約してきたという話をしていますが、逆を返せばこのシステムが止まってしまうと、業務が止まってしまうというリスクがあるということでもあります。
ですので、BPC対策を強化し、バックアップだけではなく、代替機への切り替えが素早く行えるようにするにはどうするかといった対策につなげていければと考えております。
本日のお話は以上となります。ご清聴ありがとうございました。
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