米沢電気工事株式会社 様
「ロスが多い『紙依存とハンコ文化』から
脱却し、スマートな働き方を実現するため、
さまざまな取り組みを推進しました」
電気設備工事全般を手掛ける「総合電気工事会社」として、北陸地区はもちろん、関東圏・近畿圏・中部圏・東北圏でも活躍の場を広げている米沢電気工事株式会社。
今回、同社がPOWER EGGを導入した背景と効果について、取締役 品質・環境部 購買部 経営企画室担当 経営企画室 室長 橋 康浩氏、総務部 業務課 課長 兼 情報管理課 課長 飯野 佳彦氏に詳しく伺いました。
背景 |
・ロスが多い「紙依存とハンコ文化」に課題を感じており、ワークフロー製品の導入を検討していた ・独自に構築していたFAQデータベースの運用コストが課題になっていた |
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活用状況 |
・汎用申請ワークフローの導入により、紙での決裁にまつわる時間と手間を削減。申請状況が見える化し、ペーパーレス化を達成した ・Webデータベースへの移行により、年間240万円のコストを削減。新たに「要望データベース」も設置し、社内の課題を解決できた |
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3つのプロジェクトチームで新しい働き方を構築
今回、導入した製品・サービスを教えてください。
2021年4月に、クラウド版POWER EGGの汎用申請ワークフロー、Webデータベース、グループウェアの3製品を導入し、本稼働しました。現在では全従業員分に加えて、部門共有のアカウントや一部のグループ会社用のアカウントでも利用しています。
POWER EGGの導入の背景・きっかけをお聞かせください。
現在の新社屋建設がPOWER EGG導入のきっかけです。せっかく新社屋を建設するわけですから、旧社屋の課題をそのまま新社屋に持っていくわけにはいかないと考え、2019年に業務課題を話し合いました。その課題のひとつに挙がったのが、ロスが多い「紙依存とハンコ文化」でした。
本社勤務の従業員のうち、現場で業務を行う約7割の者は、休暇届や残業届といった申請のため現場から本社に戻って決裁をもらう必要がありました。遅い時間でも直帰できず、わざわざ会社に戻らなければならないため、大きな負担になっていました。申請書の所在を確かめるため、申請者が決裁者に連絡することも珍しくありませんでした。
「紙依存とハンコ文化」を廃止し、「スマートな働き方」を実現するには、新社屋に引っ越すタイミングが最適と考え、ワークフロー、フリーアドレス、ペーパーレスという課題別のプロジェクトチームを発足させ、検討を進めていきました。
ワークフローチームで行ったワークフロー製品の比較・検討についてお聞かせください。
機能が豊富、拡張性も高い
組織に紐づいた申請ルートの作成、一括承認、決裁前の取り下げ機能、ログの出力など、POWER EGGは機能が豊富で拡張性が高いと感じました。社内で活用している業務システムとも連携できるため、効率的な運用ができると判断しました。
Webデータベースとグループウェアも選べる
POWER EGGは複数のアプリケーションで構成されており、汎用申請ワークフローだけでなく、Webデータベースやグループウェアも導入することができます。
ランニングコストがかかっている社内のシステムをWebデータベースに切り替えれば、大幅なコスト削減が実現します。
また、グループウェアを導入すれば、スケジュール管理や掲示板などが利用できます。新社屋でスマートな働き方を目指すなら、これらも導入したいと考えました。
北國銀行のお墨付き
POWER EGGは、お付き合いのある北國銀行さんから紹介を受けました。北國銀行さんいわく「当行はPOWER EGGで業務効率化を大きく前進させました」とのこと。この心強い言葉が、POWER EGG導入の後押しになったのは間違いありません。
POWER EGGを社内に浸透させる数々の取り組み
POWER EGGの浸透に関しては、総務部が主体となってさまざまな取り組みを行っていると伺っています。詳しく教えていただけますか。
新社屋が完成した2021年4月からクラウド版POWER EGGが本稼働していますが、その前後でさまざまな取り組みを行ってきました。まず、徹底して行ったのは、前述した各チームによる啓蒙活動です。
新社屋では働き方が変わり、新たなシステムとしてPOWER EGGが導入されるわけですから、戸惑うのは当たり前と考えなければなりません。我々はそうした戸惑いを考慮しつつ、丁寧に時間をかけて啓蒙活動を行いました。おかげさまで、スムーズに導入が行えました。
その他、主な取り組みについては以下の通りです。
定量的効果の算出
ワークフローチームではPOWER EGGの導入はほぼ決まっていましたが、各部門や経営層に快く受け入れてもらうには、定量的効果の算出が必要になると考えました。そこで、導入前に行った3カ月間の実証試験中に、従業員数と作成時間、承認階層などをもとにPOWER EGG導入前後のコストを算出しました。
その結果、導入前の3分の1までコストを削減可能である見通しが立ち、無事に賛同を得ることができました。
申請書・決裁書の洗い出しと作成
現存する申請書・決裁書など各帳票の洗い出しを実施し、帳票の統廃合を議論しました。結果、813の帳票があることが分かり、優先順位を付けながら仕分けを行いました。最終的には736の帳票をPOWER EGGの汎用申請ワークフローで運用することを決定し、本稼働前に30種類を作成。残りは、優先順位と社内からの要望を精査しながら作成しています。
FAQデータベースをWebデータベースに移行
社内規定から業務システムの使い方に至るまで、あらゆる質問が総務部にきていました。業務に支障が出るほどだったため、自己解決できる仕組みとして、数年前にFAQデータベースを構築しました。しかし、その運用には年間240万円ものコストがかかっていました。
そこで、POWER EGGの導入を機に、FAQデータベースをWebデータベースに移行し、運用コストの削減に成功しました。
また、以前のシステムでは、質問への回答は管理者だけが行える仕様でしたが、Webデータベースでは誰でも回答できる仕様に変更しました。これにより、ナレッジの蓄積スピードが向上し、今では400件以上のFAQが登録され、継続して閲覧・更新されるコンテンツとなっています。
要望データベースの設置
新社屋は今までと勝手が違うため、さまざまな要望がくるだろうと予想していました。そこで、FAQデータベースと同様の仕組みで、Webデータベースを用いた要望データベースを設置しました。
気軽に投稿できるWebデータベースの仕組みが功を奏し、従業員から「もっとこうしてほしい」という多くの要望を聞くことができました。それらの要望に対し、我々も真摯に対応した結果、1年後には要望が大幅に減少しました。
座席表アプリとの連携
当社では自社開発した座席表アプリを利用し、座席の位置や内線番号を確認することができます。さらに、座席表アプリでは在席・外出中・会議中・休暇といった現在のステータスを色で分かるようにしています。
POWER EGG導入後は、この座席表アプリとPOWER EGGをAPIで連携させ、座席表アプリにPOWER EGGのスケジュールを取り込むようにしました。15分に1回のバッチ処理で連携が行われるため、座席表アプリに表示されるスケジュールはほぼリアルタイム。
これにより、座席表アプリの利便性がさらに高まり、今まで以上に従業員の行動が把握しやすくなりました。
ログ収集と分析
POWER EGGにはログの機能が搭載されており、利用開始時から、スケジュールのログや掲示板の閲覧ログなどを収集して分析しています。分析方法はPOWER EGGのログをCSVで出力し、Microsoft Power BIに読み込むというもの。特にスケジュールのログは、交流関係が分かるだけでなく、スケジュール登録数などの情報を付加することで行動力の把握が可能です。分析の仕方次第では、リーダーシップのある従業員を発掘できるのではないかと考えています。
POWER EGGは業務に不可欠な存在
導入の効果をどのように感じていますか。
新社屋ではPOWER EGGが業務における中心的存在となっており、今や「ないと困るシステム」という位置付けです。申請書・決裁書の決裁は格段に速くなり、ペーパーレスも浸透してきました。課題だった「紙依存とハンコ文化」は、なくなりつつあるといっても過言ではありません。
グループウェアは総務の業務も楽にしました。例えば、ミーティングルームの予約がそのひとつです。以前はExcelで予約管理をしており、従業員はミーティングルームの使用を総務に申請し、総務が予約を行う仕組みでした。POWER EGG導入後は、設備予約から誰でも簡単に予約できるようになりました。こうして「なんでも総務」「とりあえず総務」という状況が改善されたため、総務が注力すべき本来の業務に取り組めるようになったと感じます。
今後の展開をお聞かせください。
従業員をサポートする利用方法を検討しています。例えば、資格更新を促すサポートです。当社では基幹システムに登録されている資格取得情報とWebデータベースを同期させ、POWER EGGから資格取得状況を確認できるようにしています。資格更新時期が近づいた際には、Webデータベースからリマインドメッセージを出し、サポートを行いたいと考えています。
最後にPOWER EGGへの期待をお聞かせください。
建設業界や物流業界は人手不足で経営が厳しい状況のようですが、幸いにも当社では、毎年新卒採用ができ、円滑に新陳代謝が促されていると感じています。
こうした人材面での不安がないのは、当社は従業員を宝と認識し、従業員へのサポートを惜しまないからかもしれません。今回の新社屋移転、業務効率化、働き方改革も、根底には従業員をサポートしたい気持ちがあります。そして、業務効率化、働き方改革の一助として、今後もPOWER EGGが活躍してくれることを期待しています。
企業プロフィール
1948年の会社設立以来、常に都市との共存・共栄を目指し、「電気」というインフラを通して、電気設備工事事業だけでなく、地域を活気づけるための取り組みを全社員が一体となって行っている。主な業務は建築付帯電気設備、電力設備(送変電・配電)、電車線設備、防災無線設備、ケーブルTVなどの工事、電気設備点検、消防・防災設備点検、電気・消防設備などの故障修理、設備等の提案・設計・施工、AI・IoT関連設備(アプリ等)の開発など。
名称 | 米沢電気工事株式会社 |
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所在地 | 石川県金沢市進和町32番地 |
設立 | 1948年3月 |
資本金 | 8,000万円 |
従業員数 | 360名 ※役員は除く |
URL | https://www.yonezawa.co.jp/ |
※本事例に掲載されている情報は、取材当時のものです。
取材:2024年8月