導入事例

東海労働金庫 様

「全職員一丸でWebデータベースの
利活用に取り組み、いまでは700本に
達しています」

働く人にとっていちばん身近な金融機関として、預金、ローンなど営利を目的としない金融事業を手掛ける東海労働金庫。同金庫がPOWER EGGを導入し、Webデータベースを積極的に利活用している背景と効果について、業務部 部長 小山 貴久氏、同部 システム統制Gr チーフエキスパート 陰地 慶太氏、サイバーセキュリティ対策室 室長 木下 倍充氏、同室 チーフエキスパート 小籔 弘道氏に詳しく伺いました。

背景

・特定の業務で用いていた専用のデータベースシステムは、改修のたびに外部発注していたため、コスト面などで運用に難があった

・営業店と本部で大量の紙やExcelファイルをやりとりしながら、複雑な集計業務に時間がとられていた

活用状況

・Webデータベースを活用し、職員が内製化できる形でリプレース。現在では700本のデータベースを運用している

・多くの集計業務を自動化し、本来の業務分析に時間を割く余裕が生まれた

PC移行のタイミングでグループウェアをリプレース

今回、導入した製品・サービスを教えてください。

2020年1月にパッケージ版POWER EGGの汎用申請ワークフロー、Webデータベース、グループウェアの3製品を1,200ライセンス導入しました。ライセンスは本部、各営業店の職員分となります。

(左)業務部 システム統制Gr チーフエキスパート 陰地 慶太 氏/(右)同部 部長 小山 貴久 氏
(左)業務部 システム統制Gr チーフエキスパート 陰地 慶太
(右)同部 部長 小山 貴久

POWER EGGの導入の背景・きっかけをお聞かせください。

以前利用していたグループウェアの運用に苦慮していたことが、POWER EGG導入の背景にあります。そのグループウェアは多機能でカスタマイズの自由度が高い一方で、開発の難度が高いという問題がありました。内製では対応できなかったため、機能の改修や追加などを行う際には、協力ベンダーに依頼する必要があり、当然、時間もコストもかかっていました。
日々のメンテナンスにも苦労していました。特に、大規模な人事異動がある場合は、役職の変更に伴い権限も変更する必要があり、関連する複数のデータベースを手作業で修正していました。この作業だけで1週間ほどかかっていたのです。
当時のグループウェアにはワークフローの機能があり、稟議書と通知連絡(本部から営業店に連絡する指示文書)を電子化していましたが、運用できていたのはこの2つのみ。さまざまな申請書を電子化し、ペーパーレス化を図りたかったのですが、帳票の電子化も内製では困難であり、ペーパーレス化は進みませんでした。
このような状況の中、2020年1月にWindows7のサポートが終了を迎え、Windows10への移行が急務となりました。同時にグループウェアのバージョンアップも必要でしたが、費用が想定よりも高額であったため、リプレースを検討することになったのです。

新たに導入するグループウェアの比較・選定は、どのように行われたのでしょうか。

当金庫とお付き合いのあるベンダーから提案いただいた3製品で比較・検討を実施しました。システム部門だけでは結論が出なかったため、経営層にも参加してもらい、各社にプレゼンテーションを行っていただきました。評価項目は5つあり、「導入実績」「取り組み姿勢」「実施計画・実施体制」「将来性・拡張性」「運用・保守」の総合点数で判断しました。
最高得点を獲得したのがPOWER EGGでした。さらに、比較・検討する中で、Webデータベースに注目が集まりました。他製品ではWebデータベースに相当する機能がなく、あったとしても別のパッケージを購入する必要がありました。POWER EGGなら機能としてWebデータベースを選ぶことができ、グループウェアや汎用申請ワークフローとのスムーズな連携も可能です。この点も大きな後押しとなりました。

Webデータベース移行で専用システムの費用も削減

Webデータベースに何か期待することはあったのでしょうか。

事務ミスや事務事故を管理する評価システムと、規程管理システムの2つは専用のシステムで、これらも継続利用するためには数千万円に上る高額なバージョンアップ費用が必要でした。
Webデータベースで運用できれば、バージョンアップ費用が浮き、さらにPOWER EGGだけで完結しますから、運用のしやすさも向上すると考えました。実際に両システムは、POWER EGG導入後すぐにWebデータベースに移行し、現在も問題なく稼働しています。

POWER EGGへの移行は、どのような過程で実施されたのでしょうか。

汎用申請ワークフロー、Webデータベース、グループウェア、組織図の機能別に担当を分け、個々に導入を推進しました。中でもWebデータベースは、前述した2つのシステムの移行で業務効率化に大きく寄与することが分かりました。主幹部門の限られたリソースだけでは、作業量に限界があるため、本部職員全員がWebデータベースを扱える仕組みを模索しました。
ほとんどの職員はWebデータベースをまったく知りませんから、まずはその便利さを理解してもらう必要がありました。そこで、最初に取り組んだのが、実用的な管理簿のWebデータベース化です。
従来はExcelファイルで管理簿の作成・管理を行っていましたが、ひな型の配布やマクロによる集計など、本部での処理が非常に手間のかかる作業となっており、誰もが四苦八苦していました。そこで、約20本の管理簿をWebデータベース化し、試してもらったところ、すぐに効果が表れました。営業店が入力すると同時に集計が完了し、事後処理が不要になったのです。この結果をもとに、Webデータベースの管理簿の利便性を各部門のグループ長に説明して回りました。こうして理解を得たことで、各部門でもWebデータベースの管理簿を利用してもらえるようになりました。
次に取り組んだのは、Webデータベース作成の研修です。掲示板を使って募集したところ、各部門から手が挙がり、約30人が集まりました。これだけの人数が集まったのは、先に管理簿を利用してもらい、その利便性を実感してもらったことによる成果です。管理簿の使い勝手の良さを理解した人が多く参加したと認識しています。
導入初年の2020年は、計6回の研修を行い、それ以降も毎年数回の研修を実施しています。結果として、2021年には約30人が作成できる人材となり、約100本のWebデータベースが稼働しました。2022年には約60人、約300本のWebデータベース、現在では、本部職員の約半数が作成もしくは修正・更新できるようになり、Webデータベースも700本に達しています。

RPAと組み合わせて、基幹システムとの連携も

作成したWebデータベースの中には、特に業務効率化に寄与したものがいくつかあると伺っています。具体的に教えていただけますか。

決算報告

営業店から決算報告書を受け取り、それを精査する業務です。以前は営業店が残高照会を行い、1件ごとExcelファイルに入力して決算報告書として本部に送信。それを本部が精査するという流れでした。業務の本質は資金の内訳を判定するためのものですが、本来の目的とは関係がない残高の入力作業といった事務処理が業務の大半を占めていました。そこで、事務作業全体を見直し、まずは3つあった報告書のうち1つをなくし、営業店からの報告事項を最小限としたWebデータベースを構築しました。
基幹システムでしかできない処理もあるため、RPAを導入して残高を自動集計し、Webデータベースと連携する仕組みを構築しました。これにより、本来の業務とは関係のない作業がなくなり、業務を大幅に簡略化することができました。決算期前後の忙しさも、少しは軽減されたと感じています。

自店検査

本部の抜き打ち検査だけでなく、各営業店は常日頃から不正防止の自主検査を行う必要があります。自店検査とはその報告書になりますが、以前はExcelとWordを組み合わせた専用書式に営業店が入力し、それを本部が集計する流れでした。集計結果から業務上の課題を分析することが本来の目的ですが、前処理の集計業務で疲弊してしまうほど大変でした。
これらの書式をWebデータベースに移行し、入力したらすぐに集計結果に反映されるようにしました。これにより、分析に時間を費やせるようになりました。

現金送金

日々の営業の中で、営業店の現金が不足する場合があります。以前は数十のExcelファイルとマクロを駆使し、1日数時間かけて行っていた作業でしたが、Webデータベースに移行することで、営業店からの現金送金依頼も集計管理も簡略化できました。複雑な処理のため、2種のWebデータベースを組み合わせています。
このほかにも、予算実績管理から人事考課まで、多くの業務でWebデータベースを活用しており、業務効率化に寄与していると感じています。

導入の効果をどのように感じていますか。

導入の効果は確実に感じています。正確な数字は算出していませんが、膨大な紙やファイル、無駄な時間の削減といった効果は間違いなくあります。特に、本部と営業店との間における紙やファイルのやりとりは、ほぼなくなりました。業務に関わることはもちろん、住所変更などの個人申請関係も汎用申請ワークフローもしくはWebデータベースで運用していますから、業務全体がすっきりしたと感じています。

(左)サイバーセキュリティ対策室 室長 木下 倍充 氏 /(右)同室 チーフエキスパート 小籔 弘道 氏
(左)サイバーセキュリティ対策室 室長 木下 倍充
(右)同室 チーフエキスパート 小籔 弘道

今後の展開をお聞かせください。

役割が重複しているWebデータベースや、特定の年度用のWebデータベースなどもあるため、今後はそれをいかに整理していくかが課題です。職員が求める業務のスピード感やモチベーションを損なわないように、適切なルールづくりが必要になると思います。
POWER EGGユーザ会に参加しつつ、他の金融機関の取り組みなども参考にしながら、今後の施策を思案していきたいと考えています。ベンダーやディサークル社のサポートにも期待していますので、引き続きよろしくお願いします。

企業プロフィール

東海労働金庫

労働組合や生活協同組合の仲間が、お互いを助け合うために資金を出し合って運営し、働く人たちの生涯に寄り添い続ける福祉金融機関。2000年に3金庫が合併して発足。個人の生活向上に応えるほか、地域、社会における福祉の充実、環境保護、文化・生きがいづくりなど、会員のさまざまな活動に応えている。商品・サービス内容は、預金、ローンなど一般の銀行とほぼ同じで、バーチャル店舗を含め41店舗を運営。預金額は2兆1,000億円、融資額は1兆7,000億円を超える。

(2024年3月末時点)
名称 東海労働金庫
所在地 愛知県名古屋市中区新栄一丁目7番12号
設立 2000年10月
出資金 53億円
職員数 約1,000名(正職員・嘱託職員・契約職員等の合計)
URL https://tokai.rokin.or.jp/

※本事例に掲載されている情報は、取材当時のものです。
取材:2024年8月