導入事例

住友不動産建物サービス株式会社 様

「社内文書の紙・Excel依存から脱却。
RPAやデータ連携ツールも活用し、
さらなる業務効率化に取り組んでいます」

住友不動産グループのマンション管理会社として、1973年の創業以来、入居者に寄り添う質の高いサービスとサポートを提供し続けている住友不動産建物サービス株式会社。今回、同社がPOWER EGGを導入した背景や取り組みの成果について、企画管理本部 業務企画部 部長 江口 誠二氏、同部 業務企画第一課 課長 橋本 貴志氏、同部 守屋 容子氏、藤松 美里氏に詳しく伺いました。

背景

・紙の申請書に依存した業務の流れとなっており、やりとりに時間と手間を要していた

・全国の管理マンションに対するアンケート調査をExcelベースの書類でやりとりしていたため、集計に多大な労力がかかっていた

活用状況

・汎用申請ワークフローやWebデータベースに順次置き換え、定型的な申請業務をペーパーレス化。年間20万枚以上の紙を削減

・Webデータベースを活用して集計業務もリアルタイムに行えるように。業務のスピード化、省力化を実現。社内のIT利活用も促進

ペーパーレス化・ITスキル向上・業務省力化を実現

今回、導入した製品・サービスを教えてください。

2020年3月にオンプレミス版POWER EGGの汎用申請ワークフローとWebデータベースを導入しました。汎用申請ワークフローは480ライセンスで、稟議に関わる部門に付与しています。Webデータベースは2,310ライセンスで、営業部門および管理部門を中心に付与、当社が管理受託しているマンションに常駐している管理員にも付与しています。

企画管理本部 業務企画部 守屋 容子 氏
企画管理本部 業務企画部
守屋 容子

導入から5年が経ちますが、取り組みの成果についてお聞かせください。

POWER EGGは導入直後からフル活用しており、現在はさらなる業務効率化にも積極的に取り組んでいます。主な成果については以下の通りです。

年間20万枚以上の紙を削減

これまで紙やExcelをベースにして進めてきた社内業務のほとんどをWebデータベースと汎用申請ワークフローに置き換えることができました。従来は、マンション管理組合との会議資料を作成する際も、社内で紙の依頼書を回してきたのですが、Webデータベースで依頼を受け付けるように業務のやり方を変えました。正確な集計はしていませんが、使用量などから概算して、年間20万枚以上の紙を削減できたと考えています。
また、これまでは紙の保管スペースを確保する必要がありましたが、POWER EGG導入にあわせて整理したこともあって、キャビネットも半分ほどに削減することができました。

ITスキルの向上

POWER EGG導入の副次的な成果としては、業務効率化のための個々のITリテラシーが向上したことです。日常的に取り扱う情報量が多いこともあり、単にデータ化を進めるだけではなく、それをパターン化・形式化し、他の社内システムとの自動連携を進めることで無駄な作業をなくすといったアイデアが現場から生まれ、ITツールの活用ノウハウも蓄積されました。結果的に業務効率化の良いスパイラルとなり、当社全体のITスキルも底上げされたと実感しています。
具体的には、データ連携ツールのASTERIA Warpや複数ロボットの統制管理に優れたRPAツールであるBlue Prismを活用しています。
例えば、社内の基幹システムにある入居者データをWebデータベースに同期するといったような使い方をしています。これらのツールを導入するきっかけとなったのも、POWER EGGが他のシステムと連携しやすかったからです。連携により機能を外部化することで、基幹システムの改修も抑えられました。

現場業務のスピードアップ&効率化

マンションの管理員にもWebデータベースのアカウントを付与し、スマートフォンからアクセスできるようにしたことで、営業担当者のスピードアップと業務省力化を実現できました。
例として備品の発注をあげると、以前は紙の発注書に品名を書いてFAXと電話でやりとりしていました。無駄なやりとりが多く、業務効率の悪さは否めません。Webデータベース導入後は、管理員がスマートフォンでWebデータベースにアクセスして備品を発注できるようにしました。社内で確認して手配が終わったら、Webデータベースのステータスを手配済みにするだけ。受発注の状況はWebデータベースを通じてリアルタイムに分かります。記録としても残りますから、発注や手配のミスも激減しました。
もうひとつの例として、3カ月に1回、駐車場・駐輪場の空き状況を確認する作業があるのですが、以前は膨大な枚数のチェック用紙を印刷して各マンションに送付していました。
当然やりとりに時間はかかりますし、情報量の多さから結果の確認にも大きな手間がかかっていました。この業務をWebデータベースに置き換えたことで、作業のスピードが大幅に向上し、確認作業も簡素化され、情報の把握も容易になりました。
この部分だけをみても、POWER EGGを導入した効果があったと十分に感じられるものでした。

業務フローの見える化

マンションの現場でさまざまな管理業務を行う営業担当から、事務担当者に依頼する業務があります。これらの業務をWebデータベースで一元管理することで、進捗状況の可視化が可能となり、業務の分散化や属人化の解消にもつながりました。

紙とファイルからの脱却がかねての課題だった

POWER EGGを導入した背景・課題をお聞かせくださいますか。

社内申請手続きが紙に依存していたため、業務が非効率でした。稟議書をはじめ、人事や総務系の各種申請など、社内のあらゆるところで紙に依存していました。
また、紙であることで押印のラリーがセットで必要となり、申請する社員も全国各地のマンション現場に分散していることから、やりとりに時間がかかり遅延してしまうことも少なくありませんでした。こうした課題を解決するためにも、デジタル化・ペーパーレス化は不可欠だったのです。
もうひとつ大きな点として、現場調査の一環で行うアンケート調査をExcelファイルのやりとりで行っていたのですが、この集計業務が非常に煩雑で負担になっていたことがありました。
Excelは操作の自由度が高い半面、正しいセルに入力してもらえない、勝手に列が追加される、数式が消されるといった入力時のトラブルも起きやすく、集計前の整理作業に無駄な労力がかかっていました。これも別の仕組みで実施できないかと考えていたのです。
そんなとき、グループ会社でPOWER EGGを活用していることを知り、三谷産業さんの紹介を受けて導入することになりました。

企画管理本部 業務企画部 藤松 美里 氏
企画管理本部 業務企画部
藤松 美里

導入するにあたって、POWER EGGの活用を促進する施策などはどうされたのでしょうか。

導入段階から頻繁に社内勉強会などを開いて、全社への浸透を図りました。POWER EGGをマスターした社員が「伝道師」となり、全国各地で毎日のように社内勉強会を開催するような形が1年ほど続いたと思います。
POWER EGG自体、扱いやすいユーザーフレンドリーなツールということもあり、現在は全社員、Webデータベースの軽微な修正が行えるスキルを身に付けています。正確に数えたことはありませんが、ゼロから作成できる人も相当数いると思います。

紙からPOWER EGGへの移行は、すぐに受け入れられたのでしょうか。

もともと紙やExcelに依存した非効率な業務は全社的にも認識されている課題でしたから、業務が改善されるならということで、みな協力的でした。もちろん、Excelの自由度も捨てがたいといった意見もありましたが、総合的な利便性が上回っていたのだと思います。

500以上のWebデータベースが稼働、現場で日々活用

汎用申請ワークフローとWebデータベースの活用方法をお聞かせください。

汎用申請ワークフローは、主にマンション管理業務における主要な手続きや契約書の稟議などで利用しています。タイムスタンプを残せる、改ざんができない、差し戻しができるなどの点で考えると、汎用申請ワークフローでの運用が最適です。複数の担当者が確認し、承認に至るような申請はこちらで行っています。
Webデータベースは、いまは500以上あると思います。主な用途としては、先にお話ししたように、管理員からの備品購入申請や代理勤務依頼などの「各種申請手続き」、マンション管理などの「調査集計」、法定期日管理などの「進捗管理」、加えて「マスターデータ管理」と「ログ管理」の5つの分類になります。
こちらは、複数人で同時に書き込みや参照をしたり、自動集計したり、自動処理で基幹システムとデータ連携をしたりといった用途で使っています。簡易的な手続きの申請にも活用しています。

Webデータベースの作成・管理について、どのような方針で運用されているのでしょうか。

基本的には各部署で使うWebデータベースについては、制限を設けていません。ニーズも多く特殊性が高いからです。
ただし、全社共通で利用するようなものを作成する場合は、幹部会で審議し、承認を得ないとリリースすることができないルールになっています。これらは業務企画部が管理しています。

お客様向けサービスでの活用やさらなる自動連携を目指す

今後の展望をお聞かせください。

まず、現場の利用率を高めていきたいというのがあります。弊社では、毎月の管理費等の確認やカード決済、届出情報の変更や駐車場申込など、マンション暮らしに必要な各種手続きを24時間PCやスマートフォンから行える「ST-マンション管理WEBサービス」という会員制サービスを2023年より提供しています。
まだ新しいサービスですが、このサービスの裏側でもPOWER EGGを活用していくことで、営業担当業務の利便性は間違いなく向上するはずですから、より積極的な啓蒙活動を展開していくつもりです。
もうひとつは、POWER EGGのSDK(APIによる開発キット)を使って、さらにシステム間連携を進めていく構想もあります。
実現に向けては、ディサークルさん、三谷産業さんの手厚いサポートが欠かせません。引き続きよろしくお願いします。

企業プロフィール

住友不動産建物サービス株式会社

住友不動産グループのマンション管理会社として設立。2025年2月現在、全国約1,800のマンション管理組合、17万戸の方々に対し、毎日を快適に過ごすためのマンション管理業務を展開している。マンション生活に必要な各種手続きをPC・スマートフォンで行える会員制サービス、ST-マンション管理WEBサービスを展開中。時代の変化に対応した多様なニーズに対応できるように、さまざまな管理サービスを提供している。

(2025年3月31日時点)
名称 住友不動産建物サービス株式会社
所在地 東京都新宿区西新宿七丁目22番12号 泉ホシイチビル
設立 1973(昭和48)年7月11日
資本金 3億円
従業員数 3,885名
URL https://www.sumitate.co.jp/

※本事例に掲載されている情報は、取材当時のものです。
取材:2025年4月