JA香川県 様
業務効率化とペーパーレス化の推進に、
POWER EGGは不可欠な存在。
毎月の研修と利用開放が浸透の秘訣に。
全国3例目の県単一農協組織として、農業における経営・生産・販売などを指導・支援する営農経済事業を基軸に、信用事業、共済事業などを幅広く展開する香川県農業協同組合(JA香川県)。
今回、JA香川県がPOWER EGGを導入した背景と効果について、常務理事(企画担当) 大野 和良氏、総合企画部 部長 中野 秀樹氏、総合企画部 総合企画課 課長 三島 和敏氏にお伺いしました。
背景 |
・紙ベースの決裁手続きに課題を感じており、ワークフローの導入を検討していた ・各部門で行っていたデータの取りまとめ業務は表計算ベースで一元管理が難しく、効率的にデータを蓄積することができていなかった |
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活用状況 |
・汎用申請ワークフローの導入により、輸送や振り分けを含む時間と手間の削減と、申請状況の見える化、ペーパーレス化を達成 ・各部門でのデータ一元管理、集計業務が効率化し、蓄積データの利活用も進んだ |
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月に2万件以上の申請を電子化、大幅なペーパーレス化が進む
今回、導入した製品・サービスを教えてください。
業務効率化とペーパーレス化を促進するため、2023年12月にPOWER EGGのオンプレミス版を汎用申請ワークフローとWebデータベースの構成で導入し、本稼働しました。ライセンスはどちらも全職員をカバーする3,500となります。
POWER EGGの導入効果はいかがでしたか。
部門によって取り組み状況に濃淡があるものの、当初想定していた以上に利活用が進んでいる印象です。具体的な効果は以下の通りです。
ペーパーレス化の促進と業務効率化
POWER EGG導入以降、明らかに紙の利用が減りました。汎用申請ワークフローで処理した件数の一部をご紹介します(表1)。1件あたり複数枚の用紙を含んでいますから、かなりの紙を削減できていることが分かると思います。実際、内部の業務から生み出される紙は大幅に減少したと感じます。ただし、業務によっては、お客様に記載していただく紙などが残っているため、紙自体をなくすことはできません。
これらの処理件数で分かる通り、本店にはかなりの申請書類が届いていました。負担だったのは、宛先ごとに仕分けしてコンテナに積んで届ける作業。担当していた職員は、そうした仕分け業務がなくなり、非常に喜んでいます。
決裁のスピードアップ
定量的な数字は算出していませんが、確実に速くなった実感があります。本店と拠点間で紙を輸送する手間もなくなりました。デジタルですから、一瞬で決裁者の手元に届きます。進捗も可視化されており、決裁者に確認の電話をする必要がありません。また、役員・幹部職員限定ですが、POWER EGG導入と同時にリモートデスクトップの環境を整備したことで、外出先でのタブレット決裁が可能になりました。以前は決裁者が外出すると、決裁が滞留してしまうケースが頻発していましたが、導入後はそれがなくなりました。
決裁者が決裁内容を確認したい場合も、以前は保管場所に行って膨大なファイルのなかから手作業で探さなければなりませんでした。いまはパソコンの画面ですぐに検索でき、想像していた以上に快適だと感じます。
人事奉行との自動連携でメンテナンスが不要に
当組合は多くの職員が働いていますから、異動や採用、退職以外にも、入院、結婚、産休、出産など、人事に関するイベントが日々発生しています。この状況で人事システムのデータとPOWER EGGの組織情報を別々に管理しなければならないとすれば、大きな負荷がかかってしまいます。
今回、人事システム(人事奉行)とPOWER EGGとで組織情報のコード体系を統一し、連携する仕組みを構築。人事データに更新があれば、夜間に自動的にPOWER EGG側も更新されるようにしました。人手がかかる作業を減らし、内部統制を正常に機能させる意味でも、人事データの連携は大きな効果があったと考えています。
部署ごとの業務効率化をWebデータベースで実現
さまざまな情報の取りまとめ業務を一元管理できるWebデータベースの導入により、業務効率化に大きな恩恵を感じています。具体的には、各種システムのユーザー管理、稼働人員調査、研修会などの予約、広報取材のスケジュール・担当管理、信用系の点検リストなど、およそ70の業務でWebデータベースを活用。当組合特有の出資の受入業務においては、汎用申請ワークフローで決裁手続きを行い、Webデータベースの管理簿と連動することで業務の効率化を図っています。
承認ルート設計の柔軟さが導入の決め手に
ご活用いただき、とても嬉しく思います。さて、ここでPOWER EGGを導入した背景などについてお聞かせくださいますか。
さきほども少し触れましたが、以前より紙ベースの決裁手続きに課題を感じており、ワークフローの導入を検討していました。2013年に当組合は、全国3例目の県単一農協組織という大きな組織に移行し、さまざまな部門や拠点の統廃合を行いました。一方で、本店と拠点とのやり取りが増加し、決裁手続きの遅延という問題が起きていました。
例えば、物理的にもっとも遠い小豆島の拠点と決裁手続きを行う場合、郵送で片道2日を要します。往復でどうしても1週間前後のタイムラグが生じてしまうため、緊急の決裁のときは、職員自ら決裁印をもらいに行く場合もありました。また、紙の場合、決裁書類の所在や進捗が分からないという課題もありました。決裁を申請した職員が決裁者のところに頻繁に電話をかけるという状況も珍しくなかったのです。
そこで「業務の効率化」「業務プロセスの透明性」「トレーサビリティの向上」を実現し、内部統制の強化とコンプライアンスの遵守を確実なものとするため、本格的にワークフローの導入を検討しはじめました。
製品の選定にあたり、どのように比較・検討を進めたのでしょうか。
検討しはじめたのは2019年からです。当時は、現在と比べてどのワークフロー製品も機能が乏しく、当組合が求めていた柔軟な承認ルート設計が行える製品には出合えませんでした。組織改編で業務を兼務する職員も多数いたため、柔軟な承認ルートは必須の機能だったのです。結局、このときは導入を保留しました。
再度、ワークフローの導入を検討したのは2022年です。お付き合いのあるベンダーから提案をいただいたところ、以前より格段に性能が高まっていることを感じました。3つのワークフロー製品を比較・検討の上、最終的にPOWER EGGを選定しました。選定の主な理由は以下の通りです。
柔軟な承認ルート設計が行える
基本機能を押さえつつ、複雑な組織機構への対応が可能で、承認ルートを柔軟に設定できるのはPOWER EGGのみでした。我々が求めるワークフローの仕組みを実現できると思いました。
事前に決裁書類を確認できる
決裁のフローのなかで、決裁者の順番に関係なく、事前に中身を確認できる機能が便利だと思いました。時間があるときに先に読んでおけば、自分の順番になったら承認ボタンを押すだけで済みます。書類に不備があれば、早い段階で発見できますから、無駄な手間や時間も省けます。
Webデータベースを活用できる
POWER EGGのプレゼンでWebデータベースというアプリケーションを知り、これを活用すれば各部門の業務も効率化できると思いました。特にデータの取りまとめ業務は、Webデータベースがしっくりくる印象を受けました。これまでは表計算ソフトで作業していましたが、一元管理が難しく、効率的にデータを蓄積することができませんでした。
Webデータベースなら、データの一元管理はもちろん、集計業務も情報共有も簡単に行えます。操作画面のカスタマイズも現場でできますから、省力化だけでなく蓄積データの活用促進も図れるのではないかと考えました。このWebデータベースの存在は、POWER EGG選定の大きな要因でした。
手厚い研修体制と自由な運用が浸透の秘訣
POWER EGGの運用を浸透させる取り組みについてお聞かせください。
まずは、使い方のレクチャーからです。当組合では今年4月から、毎月POWER EGGを使いこなすための研修を行っています。部門内で汎用申請ワークフローやWebデータベースをつくれる人が1人しかいないと、運用が持続しないので、参加人数の制約も設けていません。
また、つくる側の研修だけでなく、使う側の研修も行っています。POWER EGGに難しい操作はないものの、職員のITリテラシーのレベルは同じではないため、操作マニュアルを読むだけでは理解度に差が生じます。誰もが「操作マニュアルを読めば操作できる」よう、使う側の研修も続けていくつもりです。
また、Webデータベースについては、総合企画部が作成の代行を請け負うことはなく、本店の各部門が自己責任で自由に作成・運用できる形をとっています。申請の必要はなく、各部門が業務に必要なものを必要なときに作成できることで、利活用を促しています。POWER EGGを広く利用してもらい、業務の改善を進めてもらうためには、あえて制限を設けないことが重要だと考えた次第です。
最後に、今後の展望をお聞かせください。
人事・労務部門でも稟議書をデジタル化するため、汎用申請ワークフローの利用を開始しました。人事・労務関連の申請書は非常に多くの書式があり、必要な申請書を探すのが大変です。そこで、人事・労務関連の申請書もデジタル化し、さらなる効率化を図りたいと考えています。また、事故や苦情などの報告書類をWebデータベースで運用することも、来年度以降に検討していく予定です。
部門ごとの利活用の差もあります。特に営農経済部門では、農畜産物ごとに業務・事務処理内容が異なるため、業務の統一化が難しい状況です。簡単ではないと思いますが、こうした部門での業務効率化を実現するために、総合企画部も一丸となって伴走支援を行いたいと考えています。
これからもディサークルさんには手厚いサポートを希望します。引き続き、よろしくお願いします。
企業プロフィール
2000年に県内43農協が合併して発足。2013年にすべての合併が完了し、全国3例目の県単一農協組織となる。事業は組合員が行う農業経営の改善や技術の向上に関する指導事業、組合員が生産した農畜産物を販売する販売事業、農業生産に必要な肥料や資材を共同で購入する購買事業などの「営農経済事業」が中心。ほかに、貯金や資金貸付を行う「信用事業」、生命・財産の保障を行う「共済事業」などを展開している。
名称 | 香川県農業協同組合(JA香川県) |
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所在地 | 香川県高松市寿町1-3-6 香川県JAビル |
設立 | 2000年12月 |
出資金 | 234億5,018万円 |
職員数 | 3,196名(正職員・嘱託・臨時職員の合計) |
URL | https://www.kw-ja.or.jp/ |
※本事例に掲載されている情報は、取材当時のものです。
取材:2024年7月