導入事例

飛騨信用組合 様

営業支援&業務効率化の推進を担う
グループウェアとして導入

※本事例に掲載されている情報は、取材当時のものです。
設立60周年(2014年9月)の1年前から、営業支援&業務効率化を目指してITシステム活用プロジェクト《E-Pro》がスタート。その推進エンジン的グループウェアとして『全員参加&情報共有』を具現化するPOWER EGG2.0が、今や不可欠の存在に。

自然に恵まれた風光明媚な古都、飛騨高山を本拠として16店舗を展開する飛騨信用組合様は、2014年9月に組合設立60周年を迎えられ本店がリニューアルされました。そして2013年10月から、ITシステムの活用によって組合業務における「紙とハンコの文化からの脱却」を図り、営業支援と業務効率化の実現を目指すプロジェクト《E-Pro》がスタートしました。その《E-Pro》の実施に際して不可欠の推進エンジンとなっているのが"ひだしん"様で《I's(アイズ)》と呼ばれているグループウェア、すなわちPOWER EGG 2.0です。「太陽/雷鳥/山/清流」といった飛騨高山の自然をモチーフにしたロゴマークが印象的な"ひだしん"様。キャラクターは地元民芸人形の《さるぼぼ》で、リニューアルされた本店に併設してお客様とのコミュニケーションサロン《ひだしんさるぼぼ倶楽部サロン棟》を運営し、ホームページ上の動画ではAKB48の『恋するフォーチュンクッキー』が流れて職員が全員で登場。そして町中をカラフルで可愛い営業車両が駈け巡っています。このようにコミュニケーション活性化に積極的な"ひだしん"の皆様ですから、使いやすくて全組合的情報共有が図れるグループウェアPOWER EGG 2.0が導入されて以降、その運用定着&運用活性化には多くの時間を必要とはしなかったようです。

POWER EGG2.0導入の背景

2013年10月、《E-Pro》がスタート

POWER EGG2.0導入の背景を説明する上で、この《E-Pro》にいて概略を説明しておく必要がある。なぜなら《E-Pro》の発足により、全員で使えるグループウェアやワークフローの必要性が認知され、新たなソフトとしての情報ポータル、つまりはPOWER EGG2.0の導入が検討されることになるからだ。

《E-Pro》がスタートしたのは2013年10月のこと。常々課題を認識していたメンバーにより、自発的に立ち上げられたプロジェクトだった。翌年9月に設立60周年を控えて、全組合的な経営課題や従来業務の中にあった各部署の課題を取り上げ、電子化・システム化により解決を図るため、《E-Pro》は常勤理事会に承認され正式なプロジェクトとして発足した。"ひだしん"内の業務において改善や効率化が望まれる課題を集約し、統合化された情報システムの改良、導入や開発を行って営業支援および業務効率化を実現することを狙いとしている。

《E-Pro》推進と情報ポータルの活用

《E-Pro》が立ち上がる以前、"ひだしん"様では統合的なシステム化がほとんど行われていなかったという。各部署で必要に応じて各自でソフトを導入して...という状況で、職員「みんなで活用する」形にはなっていなかった。事務部門も経営企画部も融資部もそれぞれの考え方に基づき、自部門で必要と思うソフトを入れていたため、システム連携が無く、非効率が目立っていたようだ。

このような状況を打開するために発足した《E-Pro》には経営サイドから様々な課題が提起された。「システム化によって、こんなことができないか?」と経営陣から経営課題が《E-Pro》メンバーに投げかけられる。また、古里部長たちに「課題があると思われる業務処理を全て抽出・指摘してくれ」というオファーもあり、それらもリスト化された。そしてこうした課題に対し各部署でやるかやらないかを検討して、プロジェクトテーマの抽出を行った。その結果、

  • 自己査定支援システム
  • 顧客情報データベースの構築

など13件のプロジェクトテーマが掲げられ、そしてその中に

  • 情報共有化(グループウェア)の検討
  • 電子稟議書の導入

などの課題も組み込まれた。

『紙とハンコの文化』からの脱却を目指して

《E-Pro》の目標は、ITによる営業力強化および業務効率化の推進である。それは、組合内の従来業務『紙とハンコの文化』からの脱却を目指そうということになる。例えば《自己査定支援システム》の場合は、年に2回の期末時に大量集中する得意先査定書類ファイルを無くそうという目標の下に、システム化によって業務効率化を実現する。

古里部長:紙を無くすということは、要は仕事のやり方を変えるということです。金融機関の業務の中で、お客様の債権の査定をするというのは重要な業務です。今まではずっと紙ベースでした。俗にイベント査定と呼んでいますが、従来のやり方だと年2回の期末に紙ファイルが大量に集中する。16店舗分が一斉に集まって来ますから。書類を取りまとめる手間、コピーやファイル作業、背表紙を作る作業、ファイルの配送作業などいずれも大変、しかもそれをチェックしてハンコを押す方も大変です。大量の紙ファイルと(チェックの証跡を残す)押印作業で大騒ぎのイベントになってしまいます。それをシステム化によって変えるわけです。紙を無くしハンコ押印を無くす。自己査定のタイミング・進め方そのものも、時期集中型イベント査定から年間いつでもできる随時査定に変えて行く。こうすることで事務作業の大幅削減が実現し、しかもスムーズでかつ網羅的な査定が行えるようになり、省時間・省人すなわち省コスト、そして業務精度向上に結びつきます。

古里部長

《E-Pro》推進エンジンとしてPOWER EGG2.0を活用

河瀬部長:この《自己査定支援システム》の導入によって、過去は大量の機械的作業だったものが、まさしく査定そのもの、本来的な主旨の業務になりました。とはいえもちろん、このシステム自体はPOWER EGG2.0ではありません。しかしこうしたシステム実現を裏で支えた推進エンジンとして、POWER EGG2.0が不可欠のポータルとなっています。

河瀬部長

推進エンジンとしてのPOWER EGG2.0の活用とは、具体的にはどういうことなのか?

古里部長:《自己査定支援システム》が稼働した時に、並行してPOWER EGG2.0の導入が始まりました。例えばシステムでエラーが生じた時には営業店と何らかのやり取りが必要になります。あるいは例えば融資部に"一次査定を終えてこれだけ問題案件が出たので、もう一度査定をお願いします"というアラームを発する時も連絡が必要です。しかしこれが電話連絡だと大変なんです。その点、POWER EGG2.0の社内メールが本当に便利です。営業店からは、今やらねばならない案件リストがPOWER EGG2.0を使って送られてきます。融資部はそれを見ながら査定して、POWER EGG2.0で結果を返送。営業店からの報告に 融資部・リスク統括部で不備を見つけたら、POWER EGG2.0で"ここに不備があるから見直してください"と《作業依頼》にて連絡できます。POWER EGG2.0を活用することで"電話する→相手担当者がいない→じゃまた改めて連絡する→相手から電話が来たが今度はこちらが離席中"といった行ったり来たりのやり取りが無くなり業務連携がスムーズになりました。

つまりPOWER EGG2.0の活用により社内の情報受発信がストレス無く行われ、その結果POWER EGG2.0は《自己査定支援システム》が円滑に稼働するための推進エンジンとしての役割を果たすことになったのである。

POWER EGG2.0選定の経緯

情報ポータルの選定第一候補はPOWER EGG2.0

それではここで話を少し遡り、"ひだしん"様がPOWER EGG2.0をどのようにして知り、《E-Pro》の推進に必要な情報ポータルのグループウェアとして選定するに至ったのか、その経緯をご紹介しよう。

河瀬部長:POWER EGG2.0選定以前、"ひだしん"様にグループウェアが無かったわけではない。しかし導入されてはいたが、機能的に利用しているとは言えない状態だった。「従来のグループウェアは、ライセンスが部署単位で設定されており個人単位のIDがないために、社内の個人宛てのメール送受信ができない、個人のスケジュールが管理できないなど、グループウェアの要件を満たしていなかったと思います。またシステム自体も古くなっており、情報ポータルとしては機能していませんでした」

しかし《E-Pro》の推進には、全員参加で情報共有を促す使いやすい情報ポータルが必要となる。そこで情報ポータルとして新たなグループウェアの導入検討が開始され、河瀬部長・古里部長がニッキン主催のFIT(金融国際情報技術展)など展示会に出向き、手分けしていくつかのグループウェアを確かめて比較検討した。検討のポイントは次の3点である。

  1. 組合職員のだれもがITリテラシーに関係なく使いこなせるシンプルなもの。
  2. 情報共有・情報交換がしやすいもの。
  3. カスタマイズしなくてもいい汎用性のあるもの。
  4. タブレット上でも活用できるもの。

古里部長:実は私は、以前に勤務していた職場でPOWER EGG2.0を使っていました。そこである程度の目星は付いていたんです。情報共有に関しては、どんなグループウェアでもだいたい予想通りにできます。しかしグループウェアとしていくつかの必要な機能が統合一元化され、使い勝手がよいものということになるとまずPOWER EGG2.0が第一候補になります。しかも私たちが推進する《E-Pro》の最終目的は『紙文化・ハンコ文化からの脱却、電子化の実現』です。またプロジェクトテーマの1つに『電子稟議書の導入』も掲げられていますから、今度のグループウェアにはワークフローなどの決裁機能が必要です。その点を踏まえ最終的にPOWER EGG2.0に決まったのです。

金融機関の稼働事例見学が決定要因

POWER EGG2.0を選定した背景には、もう1つ大きなきっかけがあった。それは親しくしている同業の金融機関のアドバイスがあったためだ。その金融機関は以前からPOWER EGG2.0をフル活用し、業務効率向上を精力的に推進している。実は2013年の秋、河瀬部長・古里部長が出向いたFITにおいて、たまたまその金融機関のPOWER EGG2.0活用事例セミナーが行われており、そこに河瀬部長が参加したのだ。

河瀬部長:そのあと、実は《E-Pro》の案件の関係でその金融機関を訪ねることがあり、そこでPOWER EGG2.0に対する評価を聞いてみたんです。すると担当の方から、このPOWER EGG2.0は金融機関の業務に非常に合ったパッケージシステムですよ、というアドバイスが得られました。そこで、できれば実際に使っているところを見せてもらいながら生の声を聞きたいと思い、ディサークルを通じてお願いし、その金融機関のPOWER EGG活用見学の機会を設けてもらいました。2013年11月のことです。

河瀬部長によると、この視察はPOWER EGG2.0導入を決定するにあたり大きなインパクトがあったという。

河瀬部長:確かにデモで画面を見た時も、直感的に使いやすそうだなと思いました。ワークフローなど決裁機能も、すんなり金融機関で使えそうな印象を受けました。ただ実際にその金融機関で、正行員以外のパートさんまでみんなが端末を持ってごく当たり前にグループウェアやワークフローを使っているのを見てびっくりしましたね。まさしくこれが、自分たち"ひだしん"の《E-Pro》がやりたかったことでした。ワークフローを回して迅速かつ確実に決裁を行う。グループウェアでスケジュールを管理し、互いに確認もできる。社内メールを使い、情報共有もスムーズに...。紙とハンコの文化から脱却し、一元化された電子文化に変えて行く...。この金融機関の事例を実際に見て、自分たちもPOWER EGG2.0で同じ状況を実現したいと強く思いました。

POWER EGG2.0の活用

こうした経緯を経て2014年4月、"ひだしん"様はPOWER EGG 2.0 Ver2.6を導入。1年後の2015年4月現在、正職員180人およびパート職員を含め約250人(250ライセンス)が《I's(アイズ)》と名付けられたPOWER EGG2.0を活用している。

導入から稼働開始へ〜運用定着の仕掛け

導入が決まったら、まず試行的に本部職員約40名で使用を開始した。そして続いて渡邊さんたち《E-Pro》メンバーによる営業店向け説明が実施された。

渡邊さん:本部での試行使用を経て約1ヶ月半後に、全営業店に説明しに行きました。研修と言うほど大げさなものではありません。各店1〜2時間の集合説明ですね。確かに"これはすごい!"と感心する人もいれば"こんなことをやらなければならないの?"という人もいましたが、ポータルへの違和感はほとんどありませんでした。実際に使うとその便利さが実感できるので、2014年4月頃から、すぐに全職員がPOWER EGG2.0を使い始めましたね。

営業統括部 渡邊さん

古里部長によると、導入当初はみんなに意識付けを図り使ってもらえるような仕掛けを随所で行ったと言う。

古里部長:POWER EGG2.0《I's=アイズ》を使わないと情報が拾えないようなフローを意図的にあちこちに設けました。"この件に関する連絡はPOWER EGG2.0で行う"ので必ず見ておいてくださいとか、職員旅行の集合場所や集合時間はPOWER EGG2.0に掲示する、あるいはその旅行への出欠をPOWER EGG2.0でチェックする、といった感じですね。グループウェアを見たり使ったりしないと日頃の連絡や業務が進まないようにしたんです。また当初は本部が積極的にグループウェアを使いました。だから、営業店もそれに合わせることになって運用が定着しました。

従来のグループウェアだと使う人がいる一方で、全く使わない人もいたらしい。そのグループウェアで必要な情報も回覧されるのだが、誰かに「回って来た文書、印刷しといて」という感じで頼んで自分では操作しない人が多かった。

渡邊さん:しかしこのPOWER EGG2.0は違います。連絡が自分宛に飛んで来ます。だから自ら操作しないとダメ。その結果、従来は単一方向の指示や連絡だったことが、双方向の情報共有になりました。以前のグループウェアの場合、ずっと立ち上げっ放しということはありませんでしたが、営業店に行くと今はみんな、常にPOWER EGG2.0が立ち上がっています。それで情報のやり取りすることが普通になっているから、『何か情報が来ていないか』を見る癖が自然に付いているんです。ユーザーインターフェースがいいねという評価も目立ちます。どうやって使おうかな、と考えなくても皆さんすぐに使えるようになった。つまり使いやすいということですね。便利で使いやすいから、みんなが使う。だから常に見ておかないと、みんなに置いていかれる。業務も進めにくい。逆に"常にPOWER EGG2.0を見ていると"仕事がしやすい...という好循環が現場に生まれているようですよ。

POWER EGG2.0の画面と使われ方

"ひだしん"様のPOWER EGG2.0は《I's=アイズ》と呼ばれている。『私の』とか『(見える化の)目』とか『たくさんの愛が集まる』『合図』などの意味を持つ。《I's》のログイン画面は、様々な情報コンテンツとリンクできるように構成されている。【ふれあい通信】は、お客様向けのコミュニケーションコンテンツである。社内報【プリズム】は紙で配布される一方、このログイン画面からリンクして閲覧できる。【今日とぴ】は今日のトピックスのことで、渉外担当者がその日営業に出て客先で話のネタになりそうな旬のニュースを5つ紹介する。(毎日更新)【為替相場/日経ニュース/よく使う他の金融機関のホームページ】へのリンクも設けられており、そこからログインして個人の4分割画面ナビビューに入る。

POWER EGG2.0《I's=アイズ》のナビビュー画面

河瀬部長:みんなPOWER EGG2.0を普通に使っていますね。《スケジュール》《社内メール》《作業》《掲示板》などが活用され、社内報は紙で回しながら《掲示板》にもストックしています。《作業(ToDo)》の活用により、依頼を投げっ放しにしない"作業依頼の見える化"という習慣も根付きました。スケジュールはPOWER EGG2.0で管理するようになって、最近はホワイトボードの予定表はほとんど使われていないですね。

POWER EGG2.0の画面で『チャット会議室』

古里部長:社内メールのコメント機能はとても便利ですね。チャットのような感じの電子会議が可能になりました。よく考えると、会議には内容や緊急度合いなどによってレベル感の違いがあるんですよ。今すぐ開催しなければならない会議、関係者全員が打ち揃わないとダメな会議がある一方で、テーマを決めて情報共有しながら各人がそれぞれの場所で思いついた時にコメントするレベルの会議、つまり別に一堂に集まって顔合わせする必要がない会議もあると思うんです。要は会議の切り分けです。例えば経営企画部ではメールのタイトルを1つのタスク(会議テーマ)の名前にしてみんなに回す。メールの中のコメント機能を使って、いつでもどこでも自由にチャットのような感じで会議が行われるんです。

河瀬部長も同じような感想を持つ。「事業部の担当もみんな席にいないことが多いが、それでもPOWER EGG2.0があるとチャット会議が可能になる」から普通に日常業務をこなしながらの会議もできると言う。

POWER EGG2.0《I's=アイズ》の社内メール画面

《スケジュール》活用で電話連絡・伝言業務を大幅削減

《スケジュール》の活用により在籍確認や予定確認ができるようになった。「いつだれがどこにいるか」「今日会議に出るのか」などが把握しやすくなったのだ。その結果、無駄な電話連絡や煩雑な伝言業務が大幅に削減された。現在では出張中の場合、そのことがスケジュールに登録されているので不在確認ができ、出張から戻るまでみんな電話連絡はして来ない。緊急連絡が必要なら社内メールが使われる。

河瀬部長:そう言えば、机上に置かれる紙の伝言メモはなくなりました。以前は出張から戻ると、デスクには大量の伝言メモが積まれていたものです。考えてみればこれだけでも、電話する人の手間、電話を取り次ぐ人の手間、電話を受ける手間、紙の伝言メモを作成してハンコを押す手間など、無駄な作業時間が大幅に削減されています。

渡邊さん:連絡したことに関して"見たか、見てないか"の証跡が残るのも私たちからすれば助かりますね。前はいちいちメールしたり、電話して見たかどうかを確認していましたから、それだけでもかなり省時間効果が出ています。

古里部長:役員のスケジュール調整や会議時間の設定なども《スケジュール》の活用により、やりやすくなりました。会議時間の設定など、以前は各役員に電話確認して調整していたんですよ。全員が一堂に介せる時間を設定するために電話かけまくり、なんてこともよくありましたが今はスケジュールを見れば各役員の予定が分かるので、会議設定が簡単にできるようになりました。

会議の実施要項も設定・案内しやすくなった。『来週の会議』というスレッドを立てれば、そこですべて解決する。会議に関する最新情報を関係者全員で同時共有できるので、新たな書き込みや変更があってもその案内・確認は容易。式次第、場所、時間などもそこで最新情報を確認できる。参加者の顔ぶれも分かる。

POWER EGG2.0《I's=アイズ》のスケジュール画面

POWER EGG2.0に対する評価と今後の展望

常勤理事会役員のご評価

河瀬部長によると、役員からはとくに「使いにくい」という不満は聞こえないという。しかも皆さん当たり前に使っている。

古里部長:情報共有がしやすいことが、経営陣には評価されているようです。例えば営業店から上がって来た案件など、関係者間の情報共有が図りやすくなりました。また経営陣から出されたオーダーも、組合内に一気通貫しやすくなりました。従来は対人口頭メモだったものが、今は権限のある関係者はみんなが見られる情報として『見える化』され、指示も対応も証跡を伴う記録として残ります。経営からすると非常に望ましい状態でしょうね。

渡邊さん:そうですね。役員の皆さんには使うことを意識付けるような働きかけはしていませんが、皆さんいつの間にか普通に使いこなしておられます。それだけPOWER EGG2.0が使いやすい、馴れやすいということなんでしょうね。

営業店の職員の評価も、とても便利だと言う人が多い。情報が共有しやすいこと、本部への連絡がメールで済むこと、資料が必要なら添付すればよいこと、互いの予定が分かるから電話のやり取りで煩わされることがない、など評価されている。

まもなくワークフローの活用が始まる

今はグループウェアとしての活用はかなり定着している。そうなると次は、《E-Pro》の課題でもある『ワークフロー(電子稟議書)の本格導入』に取りかかることになる。そのためのPOWER EGG2.0導入でもあるからだ。

古里部長:5月からワークフローがPOWER EGG2.0に一元化されます。既に実際の業務でのフォーマットは多数登録されており、正式な開始が出されたらすぐワークフローの活用が始まります。もう使える目処は立っていますからね。例えば毎日上がってくる稟議の中には、すごい量の紙が付いてくるものがある。まずこうした大量の書類を伴う稟議を電子化したいと考えています。書類作成や整理の手間、たくさんの書類タイトルを本部の職員が手打ちし、表計算ソフトでまとめてシート化したものをまた稟議にかける...、などといった効率が悪い状況を早く脱却したいです。

河瀬部長:承認の証跡が残せるのがいいですね。金融機関によくある『書面回付の証跡』を紙で残す必要がなくなります。このため、通達文章などを綴る作業や、保管スペースの問題が一度に解決します。従来のグループウェアはそれができなかったので何かあった時に困りましたが、POWER EGG2.0ならその心配はありません。

外出先でもPOWER EGG2.0を〜タブレット端末の導入

"ひだしん"様ではこの2015年7月に、2年間にわたって開発してきた独自の営業支援システムが稼働する予定である。これは情報系のシステムと管理系のシステムの両方を備えたシステムで、渉外活動中に情報を見ることもできる。金融商品の提案営業にも使え、集金とかもでき、地域金融機関(信金、信組など)に向いた営業支援システムである。そしてこの営業支援システム本稼働に伴い、その時点で渉外担当45名、および営業店(16店)窓口に各数台のタブレット端末が導入され、組合内情報インフラが更に整備される。そしてPOWER EGG2.0もタブレット端末からアクセスできるようになり、グループウェアはもちろん、ワークフローもタブレット端末で使えるようになるわけだ。

役員にも全員、タブレット端末が行き渡る。そしてPOWER EGG2.0を外で見たいという要望に応えられるようにする。今はもう役員もスケジュールなどをPOWER EGG2.0で管理しているため、外出先で見られないと不便で仕方ないからだ。

古里部長:これからの課題の1つ、それは運用上のルール作りですね。今後は放っておくと、便利だから何でもかんでもPOWER EGG2.0でということになってしまいます。しかし例えばワークフローなどは、案件の重要性や緊急度を評価して事前に設定された規程に基づいて運用しないと、かえって収拾がつかなくなりますから。

ワークフローの運用とそのためのルール作り。これが当面《E-Pro》のメンバーたちの新たな課題となる。タブレット端末の導入により、経営陣からパートを含む全職員まで全員のITインフラが整備される。2014年4月の導入から約1年、"ひだしん"様のPOWER EGG2.0《I's》はいよいよ組合業務にとって不可欠の情報ポータルとして真価を発揮することになるだろう。

企業プロフィール

飛騨信用組合様

設立 1954年9月
本店所在地 岐阜県高山市
主な業務 ・預金業務、貸出業務
・金融商品や保険商品の売買業務
展開エリア 高山市、飛騨市、大野郡白川村
店舗数 16店舗(出張所を含む)
預金高 2,178億円(2015年3月期)
融資残高 913億円(2015年3月期)
役職員数 179名(2015年3月期)
  • 企業データは2015年4月時点

導入時期・その他

POWER EGG 導入時期
2014年4月
POWER EGG 2.0 Ver2.6導入
稼働ライセンス数 300ライセンス
稼働機能 グループウェア、汎用申請ワークフロー、Webデータベース
販売パートナー 株式会社電算システム
取材ご協力者
(左)常勤理事 事務部長   河瀬 善博 氏
(中)常勤理事 経営企画部長 古里 圭史 氏
(左)営業統括部営業統括課  渡邊 香奈絵 氏

取材:2015年4月