あいち銀行 様
「経営統合・合併の際に発生する
さまざまな手続きの効率化に
大きく貢献したのがPOWER EGGです」

「金融サービスを通じて、地域社会の繁栄に貢献します」というパーパスを掲げ、脱炭素社会の実現や事業承継問題など、さまざまな課題に向き合ってきたあいち銀行。今回、同行がPOWER EGGを導入した背景と効果などについて、執行役員事務統括部長 中嶋 清人氏、事務統括部 副部長 浦谷 義規氏、同部事務効率企画グループ 奥村 真由氏、あいち銀行の持株会社であるあいちフィナンシャルグループ グループDX・業務改革統括部長 小野田 達也氏に詳しくお伺いしました。
背景 |
・経営統合に伴い、両行で情報共有するための共通基盤が必要だった ・紙で行っていた申請や報告などの業務に無駄が多く、多大な労力がかかっていた |
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活用状況 |
・旧中京銀行が導入していたPOWER EGGを、共同持株会社のあいちフィナンシャルグループと旧愛知銀行でも導入。社内向けQ&Aや移行判定業務など、さまざまな場面で活用 ・紙の申請書や報告書を電子化。業務プロセスを見える化し、効率化を果たした |
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旧中京銀行では、PC環境の更新を機にPOWER EGGへ移行
まずは今回の導入概要を教えてください。
経営統合前の2021年4月に、旧中京銀行でPOWER EGGを導入しました。その後、2022年10月に旧愛知銀行との経営統合により、共同持株会社となるあいちフィナンシャルグループを設立。これを機にグループ全体のグループウェアをPOWER EGGに統一する流れとなり、2024年1月に旧愛知銀行にも導入されました。
内訳は、グループウェアが4,050ライセンス、汎用申請ワークフローとWebデータベースがそれぞれ3,380ライセンスです。現状、汎用申請ワークフローとWebデータベースについては、利用頻度を考慮したライセンス数となっていますが、将来的にはすべての行員が利用できる環境にしたいと考えています。

(右)事務統括部 副部長 浦谷 義規氏
当時の中京銀行様でPOWER EGGを導入したきっかけを教えてください。
PC環境をWindows10へ更新するのに伴い、当時利用していたグループウェアも更新する必要がありました。当初は既存システムの更新を検討しましたが、さまざまなサブシステムとの連携やリモートワーク対応、ペーパーレス化、BCP対策などを考えると、それらを実現できる新たなグループウェア製品を導入した方が得策という結論に達しました。それで新たなグループウェアの選定に着手した次第です。
グループウェア製品の比較・検討はどのように進められ、また、POWER EGGをお選びいただいた理由はどこにあったのでしょうか。
短期間で結果を出したいと考え、システムに業務を合わせる方針で複数の製品に絞り込みました。既存のグループウェアの機能をもとに約100項目で比較・検討した結果、多くの項目でPOWER EGGが高い評価を獲得したのです。
とりわけ、権限を細かく設定できる点は、他のグループウェアと比べて大きく勝っていました。数多くの金融機関で採用されているだけのことはあると実感したところです。また、グループウェア機能の他にも、汎用申請ワークフローやWebデータベースを利用できる点も素晴らしいと思いました。最終的には、POWER EGGほぼ一択といった状況でした。
経営統合後もPOWER EGGに一本化されています。両行全体で採用となったポイントはどこにありましたか。
実は経営統合前の愛知銀行に対してもディサークルさんから営業いただいており、POWER EGG自体に良い印象を持っていました。とりわけ汎用申請ワークフローについては、金融機関の業務の流れに合った機能が標準搭載されており、大きな魅力を感じていました。しかも、合併相手の中京銀行は導入済みでしたから、そのままPOWER EGGに移行すれば導入にかかる時間やコストなどを抑制できるのではないかと考え、社内で理解を得ながら進めました。
旧愛知銀行では対話型勉強会でPOWER EGG移行を推進
経営統合に際して、POWER EGGへの移行プロセスを教えてください。
事務や帳票などについては基本的に愛知銀行仕様とすることが決まっていたため、中京銀行がPOWER EGGで作成していた稟議書や報告書類を合併新銀行の仕様に作り直す形で進めていきました。最初は利用頻度の高い稟議書や報告書類から移行し、その後は部門ごとに紙ベースから移行する業務を選定してもらい、POWER EGGに集約していきました。
長年、紙で慣れ親しんできた業務をPOWER EGGへ移行することに対して、現場からは色々な意見があがりました。例えば汎用申請ワークフローについて、「全員の確認前に上席が確認したり、決裁したりができるのは違和感がある」とか、「上席には検討・協議後のものを回付したい」といった声がありました。これらに対し、「できるだけ早く稟議を回すために必要な仕様」「検討・協議のプロセスを含めて上席が確認することで業務の効率化につながる」といった運用上の利点を説明して、一つずつ疑問点を解消していきました。
両行でPOWER EGGを活用していくうえで、どのような取組みがありましたか。
実は合併前より旧中京銀行のメンバーが旧愛知銀行に出向き、ワークフローとWebデータベースの活用方法をレクチャーする勉強会を毎週実施していました。気軽に相談できる環境づくりの側面もありましたが、しっかりとしたワークフローやWebデータベースを作成したいニーズを持つ部門には事前予約をしてもらい、マンツーマンでレクチャーすることもありました。こうした勉強会は現在も必要に応じて実施しており、今では各部で何名かはワークフローとWebデータベースの作成や管理が行える体制になっています。
このように一緒に移行作業を進めていったこともPOWER EGGのスムーズな活用につながりました。また、使用頻度の高い汎用的に使える申請書や報告書といった全員が使うようなワークフローから統一していったため、行内への浸透は早かったと思います。
合併時のさまざまな業務で活躍したPOWER EGG
経営統合から合併に至るプロセスでも、さまざまな場面でPOWER EGGが役立ったと伺っています。
グループウェアで情報共有が容易に
合併準備を進める中での情報共有など、両行の本部および営業店で密に連携を図っていく必要がありました。POWER EGG導入以前は情報取扱いの手続きが煩雑でしたが、導入後はPOWER EGGの「社内メール」機能で安全に共有できるようになり、これだけでも導入して良かったと感じました。
また、個々の銀行のみに閲覧を限定したい情報や書類の扱いについても、POWER EGGは組織ごとに権限を細かく設定できるため、苦労はしませんでした。設定した権限はあらゆる機能に適用できるため、素晴らしい使い勝手だと感じています。
Webデータベースで合併手続きの問合せ受付を作成
本番移行期間中、特に旧中京銀行の営業店から本部各部への問合せの増加が予想されたため、混乱を避ける目的で予め営業店からの問合せを一手に受け付けるヘルプデスクを設置しました。ヘルプデスクで受け付けたさまざまな質問を振分班経由で回答班から営業店へ電話で回答し、その内容を受付票に記入。回答が完了したものについて5、6名の記帳班がWebデータベースへ質問と回答内容を登録しました。
合併後7日間で2,000件以上の質問があり、質問の多いものについては掲示板を利用し本部から対応方法を周知したり、営業店事務の状況を把握したりするなど、合併直後の円滑な業務運営に役立てました。
汎用申請ワークフローで合併時の移行判定業務を効率化
合併に向けたプレ移行判定、最終移行判定でも、POWER EGGは大いに役立ちました。移行判定においては200件以上の判定項目があり、各部門から担当役員の決裁を受けた稟議書を提出してもらう必要がありましたが、これを汎用申請ワークフローで行いました。
進捗確認や催促もコメント機能でやり取りが完結し、移行判定をスムーズに行うことができました。金融庁に提出する書類も、蓄積した移行判定のデータをまとめるだけで済みました。仮にこれを紙で行っていた場合、膨大な紙のコピーやスキャンが発生し、期限内に対応するのは難しかったかもしれません。

(右)事務統括部 事務効率企画グループ 奥村 真由氏
現在、どのくらいの数の汎用申請ワークフローやWebデータベースが動いていますか。
ワークフローとしては、目的や権限に応じて機能を使い分けながら、汎用的に利用できる稟議申請、業務報告、協議報告メモ、簡易レポートは事務統括部が一括で作成し、全行に展開しています。これ以外にも業務ごとのワークフローが60件以上あります。
加えて、各部門内で業務に必要なWebデータベースが150~160件程度ありますが、こちらはそれぞれの部門に管理を任せています。
ペーパーレス化の先を見据えて
他にもPOWER EGG導入による効果があればお聞かせください。
合併当初に稟議申請や報告書に関わる業務に限定して試算しましたが、過去に紙で行っていたときと比較して、POWER EGG導入後は年間800時間以上の削減につながっています。ペーパーレス化は進みましたし、確認作業やミーティングでのやり取りもなくなり、人的な負担が大きく削減されている実感があります。
会議などのスケジュール調整もスムーズに行えるようになりました。以前は出席する役員のスケジュール表を印刷し、それらを見比べながら空いている時間を見つけ出すアナログ的な調整で苦労していました。POWER EGG導入後は役員の予定と会議室の空き状況をひとつの画面で確認しながら、驚くほど簡単に調整ができるようになりました。
最後に今後の展望をお聞かせください。
第2次中期経営計画(2025年4月~2028年3月)では、あいち銀行を中核としたグループ一体経営を確立し、「銀行業を超えたトータルサポートグループ」の実現を目指してまいります。
第2次中期経営計画に掲げる3つの基本戦略のひとつが「DX戦略の加速化」です。2025年4月に新たに立ち上げたあいちフィナンシャルグループ グループDX・業務改革統括部とともに、DXを活用した業務改革を行内とお客さまサービスの両面に向けて推進していきます。
そこで重要度が高いと考えているのが、POWER EGGのさらなる活用です。生成AIとのAPI連携による業務効率化の研究やRPAとの連携による業務の自動化促進など、最終的には営業店、そしてお客さまにつながっていくような有効活用ができればと思っています。
そのためには、今後もディサークルさんにご支援を賜りたいと思います。新機能やその使い方、他行の事例など、当行に有益な情報がありましたら、ぜひご教示ください。引き続きよろしくお願いします。
企業プロフィール
2025年1月に旧愛知銀行と旧中京銀行が合併し、あいち銀行として発足。銀行名の「あいち」には、営業基盤である愛知県を大切にし、ともに成長していくことで「愛知県No.1の地域金融グループを目指す」という想いが込められている。
脱炭素社会の実現や事業承継問題など、さまざまな課題に対し、コンサルティング・ソリューションを提供することで、地域社会のサステナブルな発展に貢献している。
名称 | 株式会社あいち銀行 |
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本店所在地 | 愛知県名古屋市中区栄3-14-12 |
設立 | 1910年9月 (※愛知銀行の前身となる日本貯蓄興業株式会社の設立) |
資本金 | 180億円 |
店舗数 | 190店舗 |
職員数 | 2,303名 |
預金残高 | 5兆9,457億円 |
貸出金残高 | 4兆8,547億円 |
URL | https://www.aichibank.co.jp/ |
※本事例に掲載されている情報は、取材当時のものです。
取材:2025年7月